独身女性が48歳でAV女優デビューした理由

女性ならではの「形に残る仕事」がしたかった

ハリのある肌とハツラツとした笑顔、中年太りとは無縁の引き締まったボディは30代前半と言われても納得してしまう若々しさだ。彼女が陽気な笑い声を上げるたび、艶やかな黒髪が肩の上で揺れ、タイトスカートから覗く美脚は同性の目にも眩しく映る。きっと彼女のような50代を世間一般では「美魔女」というのだろう。とはいえその姿には若作り感やイタさはない。よく笑い、よく話す彼女は年下の私から見てもかわいらしい印象を受けてしまう。

「撮影の日って朝は早いし、帰りは深夜になるしどうしても家を空けることが多くなるじゃないですか。毎回毎回、女友達と旅行に行ってくる、っていうのも限界があるので親にはっきり言いましたね」

綺美香は独身、現在は70代の父母と3人で暮らしている。

周りの友人は結婚したり、子どもを育てたり…

「周りの友人は結婚したり、子どもを育てたり、会社を作ったりといろいろやっているし、そういうのを見ていると私もいい歳になったし、なにか残したくて。そんなときにふと、女性ならではの職業をしてみたい、そんな風に思ったんです。最初は水商売も考えたけど、それって形に残るものでもないし、そもそも私、お酒を飲めないし。そこで浮かんだのがAV女優だったんです。この話、デビュー作のインタビューでも言ってるんですけど、親にもまったく同じことを話しましたね」

娘の告白に父親の動きは一瞬、止まった。

「なにより誤解してほしくないのは決してメーカーや事務所も変なところじゃない。私が大人の判断でやっているから信用してね、ということも言いました。未成年じゃないけれどそこはきちんと知っておいてほしかったから」

それを聞いた父親は綺美香にこう告げた。

「いい大人だから自分の責任が持てる範囲で任せる」

しかし同時に条件を課せられた。

「体に傷をつけないこと、家で泣き言を言わないこと、イヤだと思ったら辞めること、この3つが条件でした。どんな仕事でもお金をもらうって多少の辛いことはつきものだけど、なにせAVは特殊な世界。“生活のためでもないし、親に頼まれてやるものでもないから、お前が耐えられないと思ったら、そこまでしてやるな。我慢してウツになったりすることがないように、その線引きは自分でしっかりしろ”そう言われましたね」

父親は終始冷静な様子だった。

「賛成はもちろんしない、けれどこの歳になって首根っこ摑んで辞めろと言ったところで私は辞めないわけだし。ただメンタルの心配はされましたね。芸能界って人を蹴落として自分が上がっていく、というイメージがあるじゃないですか。私は別に過去に女優やタレントを目指したりしていたわけじゃないし野心があるタイプじゃないから(笑)。そしてこの仕事に関しては後ろ指さす人もいるだろうから、それに耐えられなくなったら辞めろとも言われました」

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