銀行の「売れ筋投信」に乗るのはカモネギだ 「売れているから良い金融商品」とは限らない

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比較的自由な意思で選択できるネット証券でも、「売れている投資信託ベスト10」といったランキングを発表していますが、それですら、100%自由に選ばれているかというと疑問です。たとえばキャンペーンを用いたり、メルマガで紹介したり、インターネットページの見やすい場所に表示したりすることで、特定の投信にお客様の興味を誘導することも十分にできるのです。

カモネギにならないためにはどうしたら良いのか

では、私たちはどうやって投資信託を選べば良いのでしょうか?

まずは、みんなと一緒だからといって安心しない、と心掛けるべきです。一緒だと自分もカモネギになってしまいます。売り手の発信する情報ではなく、中立的立場の人が発信する情報や個人投資家サイドが発信する情報を集めることをお勧めします。たとえば、投信ブロガーが選ぶランキングは参考になります。

1月に発表された「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 2016」の投票結果を見れば、投信について日々情報収集を行い、詳しいブロガーたちが厳しい目で選んだ投信は、金融機関のランキングとまったく別物であるのが、おわかりいただけるのではないでしょうか。

まともな情報を収集したければ、営業担当者を頼るのではなく自ら主体的に動く必要があります。投資の世界においては、みんなと同じ投資行動をとることが、いちばん大きなリスクになることもあるのです。

みんなと一緒にカモネギになりたくなかったら、人気ランキングは金融機関が売りたい商品のランキングと心得ましょう。個人投資家にとって有利で、本当の意味で価値のある商品は、ランキング上位にはありません。

個人投資家サイドが発信する情報を集めるなどにより主体的に商品を選択することが効率的な資産運用につながります。

高橋 忠寛 ファイナンシャルプランナー

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たかはし ただひろ / Tadahiro Takahashi

株式会社リンクマネーコンサルティング代表取締役。メガバンクと外資系金融機関で10年超の銀行勤務。法人営業や資産家向け相続ビジネス、資産運用コンサルティング業務などに従事。独立後は投資助言代理業者として、金融商品の販売には関わらない完全に独立した立場で資産運用を中心に、資産管理についての総合的なアドバイスを提供。CFP®、日本証券アナリスト協会検定会員。著書に『銀行員が顧客には勧めないけど家族に勧める資産運用術』(日本実業出版社)など。

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