日本の投資家の「やっかいな病気」が再発した 外国人投資家は目先のドル円など見ていない

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そうした「投資家のあたふた」により、米ドル買いが生じたわけだが、それが一巡すれば、円高に振れたというより、米ドル安へと短期的に反落するのは自然な動きだったと言える。そうした単なる為替相場の目先のドタバタが、日本株の押し下げに働き続けている、というのは、うなずけない解釈だ。

そもそも「115円手前から週末にかけて円高に向かった」と言っても、113円を少し割れた水準に押したに過ぎない。今月上旬には一時111円台にあったことを考えれば、別に騒ぐほどの円高とは言えないだろう。

しっくりこない「日本株不振」の市況解説

マスコミ等の市況解説をみても、日本株が米国株と比べて冴えない点について、腑に落ちない理由づけを多く見る。

たとえば、「3月期末を前に、国内機関投資家が処分売りを行なった」といったようなものがあるが、3月末までまだ間がある今、売りを急がなければいけない要因は、内外で全く見いだせない。

また、14日(火)に、フリン大統領補佐官が辞任したため、「米政権の政策実行力について、疑義が生じた」という解説も目にする。ただ、当コラムで何度も述べているように、トランプ新政権は別に最初から素晴らしいものではなく、その動静に一喜一憂するのはバカバカしい。

どうなるか初めから不透明だったトランプ大統領の政権運営が、やはり不透明だ、ということだけであり、喜ぶのも悲しむのもやめた方がよい。だいたい、米国株価がその懸念で真っ先に下落しているのであればともかく、堅調に推移しているのだから、日本株が軟調なことの説明にはならない。

さらに「東芝がまともな決算発表ができなかった」という理由もどうか。確かにそのこと自体は、日本株全般にとっても決して好材料ではない。しかし「東芝が危機に陥るのではないか」と察していた投資家が少数派だったとは思えない。「ああ、やっぱり」というのが市場参加者の大多数ではなかったか。とすれば、東芝を日本株全体の悪材料の決め手とするのも、的外れだと感じる。

結局、特に日本株が米国株などに劣後する理由は見いだせない。国内企業の四半期業績の発表は一巡したが、10~12月期の最終利益は、前年比で25%程度の増益になったと報じられている。対前年比では円高であり、当初は1割弱の増益にとどまると見込まれていたので、大幅なポジティブサプライズであった。

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