ラーメン「一風堂」が上場で直面する成長の壁 時価総額は約60億円、成長戦略を描けるか

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看板商品の1つ「赤丸新味」。創業30周年の2015年に全面リニューアルした(写真:力の源ホールディングス)

博多ラーメン「一風堂」を運営する力の源(ちからのもと)ホールディングスが3月21日にマザーズに上場する。上場に伴い、80万株を新規発行、創業者で会長の河原成美氏が保有する20万株を売り出す。

1株当たりの想定価格540円で計算すると時価総額は約60億円になる。新株発行により調達する4億円超の資金は、海外出店費用や店舗のシステム投資に充てる。

力の源は主力業態「一風堂」を直営中心に、全国主要都市で126店舗を展開。ほかにもラーメンダイニング「五行」、フードコート業態「RAMEN EXPRESS」といったブランドもある。直近2016年3月期決算は売上高208億円(前期比16.9%増)、営業利益5.0億円(同284.2%増)だ。

官民ファンドも出資

木製の看板が目印の「一風堂」は”女性でも入りやすいラーメン店”がコンセプト(記者撮影)

ラーメン主体の外食チェーンとしては「日高屋」を運営するハイデイ日高(売上高367億円、営業利益43億円、時価総額693億円)に遠く及ばず、北陸中心に「8番らーめん」を展開するハチバン(売上高76億円、営業利益5.2億円、102億円)にほぼ近い規模となっている。

同社はレストランバーのマスターだった河原氏が1985年、福岡市中央区大名に「博多 一風堂」1号店を出店したことにさかのぼる。

翌1986年に力の源カンパニーを立ち上げ、1994年には新横浜ラーメン博物館内に出店、関東進出。河原氏がテレビ東京の「TVチャンピオン」の「ラーメン職人選手権」を3連覇したこともあり、知名度が高まった。

2008年に米・ニューヨークへ進出したのを皮切りに、シンガポール、中国、フランス、イギリスなど海外12カ国63店舗で展開している。2014年には官民ファンドのクールジャパン機構を割当先とする第三者割当増資で約7億円を調達、最大13億円の融資枠を設定している。

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