楽天三木谷氏、連続減益でも「自信」語る理由 海外事業で再び「減損」、ただ明るい兆しも

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決算は軟調だったが、三木谷浩史会長の表情は明るかった。会見ではシリコンバレーへの本社移転についても語った(撮影:大澤誠)

8期ぶりの営業減益に沈んだ2015年。そこから挽回を狙った2016年だが、さらに営業利益を落とす形となってしまった。

EC大手・楽天が2月13日に発表した2016年の通期決算(国際会計基準)は、売上高が7819億円(前年比9.6%増)に膨らんだ一方、営業利益は779億円(同17.6%減)に減少。2期連続の増収減益となった。

減益の要因のひとつは、海外事業ののれん減損だ。2013年9月に買収した米国の動画配信サービス会社・Viki(ヴィキ)を中心に、総額243億円の減損が発生し、営業利益を大きく押し下げた。一体何があったのか。

動画サービスの競争激化で減損損失を計上

ヴィキは動画ストリーミングサービスを世界で展開するシンガポール生まれの企業。会社側が著作権取得したコンテンツに、世界中の視聴者がクラウド上で字幕を付けて配信、160以上の言語に対応しているのが特徴だ。韓国、中国、台湾のドラマやインド映画などを多く取りそろえ、北米、南米、東南アジアなどでユーザー数を伸ばしてきた。

だが、動画サービスの競争は激化の一途をたどる。定額見放題サービスの米Netflix(ネットフリックス)、米Hulu(フールー)をはじめ、アマゾンが会員向けに展開するプライム・ビデオなどが世界中にサービスを広げている。ヴィキも業容拡大を続けているものの、競争激化を受け、当初の成長計画を修正せざるを得なくなった。広告モデルからユーザー課金を軸としたモデルに転換し、テコ入れを図っている。

楽天が海外がらみの減損に苦しめられたのは、これが初めてではない。同社は2015年の通期決算でも381億円の減損を計上している。その大部分を占めたのは、仏ECサイト運営のプライス・ミニスター(2010年買収)と、カナダの電子書籍企業・コボ(2011年買収)の2社だった。

2013年から、楽天は定期的なのれん償却をしない国際会計基準を採用している。これは国内外で積極的に買収を行う企業にとってメリットが大きい。だが、買収企業の業績いかんで巨額の減損を迫られるリスクもついて回る。楽天においては、この2年でリスクが一気に顕在化したわけだ。

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