プレミアムフライデーは日本に定着するのか 「午後3時退社運動」が2月24日にスタート

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プレミアムフライデーはGDP(国内総生産)の約6割を占める消費が盛り上がらない中、対策を練っていた経済産業省と日本経済団体連合会(経団連)の意向が一致し、昨年の12月に取り組み方針を公表。官民連携の推進協議会も設置された。

推進役の経団連は、最初は旗振り役を務めるが、基本的には企業の自主的な取り組みに任せる方針だ。大和総研の長内智シニアエコノミストは、「モノ消費の場合、金曜日に買っても土曜、日曜に消費を控える可能性がある。(旅行や飲食といった)サービスなどコト消費を拡大させることが重要」と話す。

必要な企業の本気度

プレミアムフライデーが実効性を持つかは、サービスの普及以上に、企業が従業員の退社時間を本気で繰り上げられるかがカギとなる。大手でいち早く動いたのは大和ハウス工業だ。同社の樋口武男会長が、経団連の榊原定征会長から直接要請を受け、偶数月の最終金曜の午後は半日有休とする制度を導入した。パートを含む約2万人の全従業員が対象だ。

もっとも住宅展示場などで働く営業部門では戸惑いもあった。大和ハウスだけ休みとなれば、機会損失にもなりかねない。一方で、労働環境の改善に真剣に取り組んでいることが世間に伝われば、イメージアップや優秀な人材の獲得などにもつながる。「来場者の案内方法などを工夫して、休めるような努力を求めていく」(人事部)という。

企業によってとらえ方はさまざま。休日分散を訴えてきた星野リゾートの星野佳路代表は「金曜日から週末に需要を集中させるのではなく、休日を分散させるほうが、日本の観光業には望ましい」と指摘する。プレミアムフライデーは、有休取得が進まず、休日が集中する現状で生み出された苦肉の策といえる。

筑紫 祐二 東洋経済 記者

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ちくし ゆうじ / Yuji Chikushi

住宅建設、セメント、ノンバンクなどを担当。「そのハラル大丈夫?」(週刊東洋経済eビジネス新書No.92)を執筆。

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藤尾 明彦 東洋経済 記者

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ふじお あきひこ / Akihiko Fujio

『週刊東洋経済』、『会社四季報オンライン』、『会社四季報』等の編集を経て、現在『東洋経済オンライン』編集部。健康オタクでランニングが趣味。心身統一合気道初段。

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