「メモリ特需」で日本の製造業は大復活する 東芝の大逆転はあるか?半導体新技術の実力

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フラッシュメモリのマーケットが膨張するとき、その恩恵にあずかるのは半導体メーカーだけではない(写真:bigtora / PIXTA)
360兆円の巨大市場に成長すると予想されるIoT関連産業であるが、その中心となるセンサーやロボットが本格的に稼働し始めるのは、しばらく先の話だ。しかしながら、ビッグデータを使った企業サービスの本格化によってデータセンターの増強が急務となったいま、半導体、特にメモリには、これまでにない規模で爆発的な需要が生まれている。
そして、そのメモリ技術において、圧倒的な強みを持つ企業こそ、現在、経営危機がささやかれている東芝だ。現時点では、東芝の半導体部門の動向は流動的だが、メモリを中心とした半導体特需は窮地に陥っている東芝を救うことができるのか。35年以上にわたって第一線を走ってきた国内最古参の半導体記者で、近著『日・米・中 IoT最終戦争』を上梓した泉谷渉氏が展望する。

ハードディスクからフラッシュメモリへの大転換

『日・米・中 IoT最終戦争: 日本はセンサーとロボットで勝つ』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします) 

前回述べたように、IoT関連市場が自動車を超える巨大なマーケットに成長することは間違いない。しかし、「その恩恵は、いつ、どれくらい受けられるのか」という話になると、過去の産業革命がそうだったように、IoTによる革命も1~2年で成し遂げられるものではなく、おそらく今後、20年ほどかけて着実に進んでいくことになると見られていた。したがって、ある程度時間をかけて、日本企業を潤していくものと考えられていた。

ところが、最近になってにわかにモメンタムが変わりつつある。半導体、特にメモリが爆発的な成長を遂げようとしているからだ。

現在、世界のデータセンターの能力はおよそ8ゼタバイトである(1ゼタバイト≒10億テラバイト、1テラバイト≒1000ギガバイト)。言い換えるなら、これが全世界の情報処理量だ。しかし東京オリンピックが開かれる2020年には、これが44ゼタバイトまで達するといわれている。この予測が正しければ、世界のデータセンターのハイエンドサーバーが5倍強に膨らむわけだ。

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