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「マーケティング成果が見えない」本当の理由 1位の座を維持するシャノンはゴールに注力

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「マーケティングオートメーション」という言葉を聞く機会が増えている。ITのシステムやツールを利用して、企業のマーケティング・営業活動を効率化し自動化する手法だ。注目される一方で、その効果が得られないという声も少なくない。特に大手企業では「失敗事例」も目立つ。「大手企業では組織階層でマーケティングが断絶しやすいためです」と指摘するのは、企業のマーケティング活動を支援するクラウドサービスを手掛ける、シャノンの中村健一郎社長だ。課題を解決するためのポイントを聞いた。

マーケティングオートメーション支援のパイオニア

“ 展示会などを行い、来場者から獲得した名刺を表計算ソフトなどに入力し、見込み客をデータベース化。後日、営業担当者がアプローチし、商談化する ”
 

これは多くの企業で行われている営業活動の流れだろう。ここ数年、これらのプロセスをITツールの活用により自動化するサービスが登場している。「マーケティングオートメーション」である。

企業の営業活動に必要な情報を管理・運用するクラウドサービスを手掛けているシャノンは、「マーケティングオートメーション」という言葉が一般化する前から、この領域に取り組んできた。

中村健一郎 株式会社シャノン 代表取締役
同社は2017年1月、東証マザーズに上場するまでに急成長を遂げた。

同社は2000年8月に設立された。当初は、ビジネス向けセミナー・イベントなどにおける来場者管理システムからスタートしたが、ニーズに応えるためにマーケティング活動の支援へと事業を広げてきた。2011年には、マーケティング業務を自動化・効率化するクラウドサービス「シャノンマーケティングプラットフォーム」をリリース。同サービスは提供開始以来、大手企業を中心に数多くの企業に支持され、統合型マーケティング支援SaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)市場において7年連続でトップシェアとなっている※。そして2017年1月には、東証マザーズに上場した。

ところで、営業活動の支援というと、SFA(営業支援システム)などが思い浮かぶが、それらと「マーケティングオートメーション」とはどのように異なるのだろうか。

「当社では、見込み客および既存顧客から商談を獲得するために実施する、オンライン・オフラインのマーケティング活動全般を統合管理し、商談を獲得するために最適なコミュニケーションを自動化する手法やプラットフォームを『マーケティングオートメーション』と呼んでいます」

マーケティングオートメーションはSFAの前の行程だ。商談化させるための準備や施策ができていなければ、それ以降の行程も生まれない。

※出典:ITR「ITR Market View:マーケティング管理市場2013~2017」売上金額ベースでの2010年度~2016年度(予測値)シェア

「マーケティングオートメーション」ならビジネスのありようも変えられる

インターネットの誕生により、ビジネスプロセスは大きく変わった。むろん、営業活動も変化している。かつてのように、勧誘の電話や飛び込み営業で見込み客を獲得し、情報を提供しながら商談化するといった流れはなくなりつつある。顧客に接触した時点で、すでに顧客は複数の企業の製品やサービス、さらには価格までの情報を入手しており、比較検討しているのである。

「このような状況下では、自社の製品やサービスに興味関心を持っているお客様がどこにいるのかを知ることが非常に重要になります」と中村氏は語る。 その実現に貢献するのが「マーケティングオートメーション」というわけだ。

たとえば、同社の「シャノンマーケティングプラットフォーム」を利用すれば、「展示会を開催した翌日に、来場者にお礼のメールを送ったところ、製品サイトを訪問し、価格表までをダウンロードした」といったこともわかる。購入の可能性が高い重要な見込み客であることは言うまでもない。

同社の「シャノンマーケティングプラットフォーム」には、「Webアクセストラッキング」などの分析機能や「ステップメール・トリガーメール」などのアクション機能、さらにはユーザー管理、活動履歴管理などの機能が700以上も備わっているという。

「ただし」と、中村氏は加える。「マーケティングオートメーションを導入すれば、すぐに成果が出るわけではありません。特に、大手企業では失敗例も多いのです」。 同社の「シャノンマーケティングプラットフォーム」が多くの大手企業で採用されている理由もそこにあるという。

経営層からミドル、現場までをつなぐ「ゴール」という共通認識が重要

「当社で行った『国内BtoBマーケティングの現状と課題レポート』という調査で、企業のマーケティング課題についてたずねたところ、3年連続で『マーケティング活動の成果が見えない』という回答が1位になっています」と中村氏は紹介する。「マーケティングオートメーション」が注目され、さまざまなツールやサービスが登場しているにもかかわらず、その成果が得られていないことがうかがえる。

その要因について中村氏は「組織階層でマーケティングに対する認識の食い違いが起きているためです」と説明する。経営層、ミドル、現場の担当者で、情報が一元管理されていないため、それぞれが見ている内容が異なる。さらに、部門や職種によってKPI(重要業績評価指標)もバラバラになっているのである。「マーケティングオートメーション」に関心のある大手企業がなかなか成果を出せない理由がここにある。

起こりがちな課題を解決するためにシャノンが作り上げた考え方は……

「大切なのは、経営層から現場まで、全員で課題を共有しその解決に取り組むことです。たとえば、商談数が少ないのが課題であれば『商談数の増加』を共通の課題として設定し、各部門・職種のKPIはこれにリンクしてなければなりません。当社ではこれを『ゴールを描く』と表現しています」

同社の「マーケティングオートメーション」では、「ゴール機能」があり、経営層からミドル、現場までが達成度合いなどの同じデータを見て、共通認識を持ちながら、ゴールと現状に「ギャップ」があるならば、その解決のために必要な行動を議論できるようになっているという。これを「ゴールドリブンマーケティング」と呼んでいる。

「マーケティングオートメーションに限らずマーケティングとしてまず大切なのは、ツールの導入だけではなく、このギャップを埋めるシナリオを設計し実行することです」と中村氏は語る。 同社ではそのために、きめ細かなサポートを行っているほか、必要に応じてコンサルティングも実施している。

その取り組みは、経営リソースに限りがある中小企業はもとより、大手企業からも高く評価され、引き合いも増えているという。 多くのデータがあり、マーケティング活動も行っているにもかかわらず、それが成果につながっていないという企業は、同社に相談してみるのも一つの方法だろう。 

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