伊藤忠商事

伊藤忠、勝ち続けるための次なる戦略

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伊藤忠商事の業績が好調だ。かつては大手商社5社の中で4番手のポジションとも言われていたが、2010年に岡藤正広社長が就任後、2011年度には過去最高益を更新、2015年度には純利益で商社トップに立った。2016年度も期初計画どおり、史上最高益である3,500億円の達成が濃厚だ。同社の強さの背景には、非資源分野への積極的な投資に加え、社員の一人ひとりの「働きがい」を追求する同社独自の人材戦略があるという。人事・総務部長の垣見俊之氏にその秘訣を聞いた。

「最少人数で最大の成果を生み出す」ために

総合商社の伊藤忠商事が、成長の勢いを加速させている。その特長は個々の「稼ぐ力」にある。社員数では旧財閥系商社より少ないにもかかわらず、純利益でトップ争いを繰り広げている。強みである非資源分野への積極的な投資、市場で言えばアジアに注力するなど、限られた経営資源を集中させることで大きな成長を手にしている。

こうした中、人事・総務部長の垣見俊之氏は「商社の経営資源は人。『最少人数で最大効果を生み出す』のが当社の特色です。一人ひとりが個の力を最大限に発揮することができれば、必ず他社に勝つことができると考えています」と語る。一人ひとりの持てる力を最大限に発揮するには、まずは社員自身が全力で戦える状態であることが必要だ。同社は、パフォーマンスの最大化を目的として、「健康力商社No.1」を掲げ、2016年6月には岡藤社長名で『伊藤忠健康憲章』を制定するなど、社員への福利厚生施策としてではなく、経営戦略の一環として諸施策を推進している。

伊藤忠商事
人事・総務部長
垣見俊之

3年前から導入している「朝型勤務制度」も、その一つだ。20時以降の残業は原則禁止で、22時以降は完全禁止。夜残業をする代わりに朝早く会社に来た方がより仕事の効率が上がり、また、ビジネスをするうえで一番大切なお客様対応の徹底が図れるという考えである。制度導入に際しては、インセンティブとして早朝出勤した社員には深夜勤務同様の割り増し時間外手当を支給し、無料の軽食まで用意。そのメニューも健康増進に配慮し、飽きのこない工夫をする一方で、夜の会食も1次会のみ、午後10時までとする「110運動」を推進し朝型勤務をより促進させていることからもその徹底ぶりがうかがえる。

「朝型勤務制度」の導入で残業時間は減少。無料の軽食を用意するなどインセンティブを付けて推進している

実際、「朝型勤務制度」の導入後は、業績は好調なまま残業時間は減っており、「これは時間に対する社員の意識が飛躍的に高まった結果」と垣見氏は分析する。2017年、伊藤忠商事は従業員の健康管理を経営的な視点から考え戦略的に取り組んでいる企業を選定する「健康経営銘柄」にも2年連続で選ばれている。最近では、若手社員を対象にウエアラブル端末を配布し、各人の運動・食事・睡眠などの健康状況を測定し専門家のアドバイスを受けられるといった、社員の健康力向上に資するような具体的な取り組みも進めており、今後も健康経営を加速していく考えだ。

「働きやすさ<働きがい」でパフォーマンスを最大化

ほかにも同社の取り組みは、さまざまなところで評価されている。仕事と育児の両立支援の取り組みに特に優れた企業を認定する「プラチナくるみん認定」、多様な人材が活躍できる機会や環境を提供する優れた企業を選定する「新・ダイバーシティ経営企業100選」、女性活躍推進に優れた企業を評価・選定する「なでしこ銘柄」に指定されるなど社会の注目度も高い。

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