金正男暗殺、カギはシンガポール人女性か 渦中の人物はなぜマレーシアをよく訪れた?

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金正男氏と言えば、礼儀正しく、比較的温和な性格であり、女性と酒を飲むのを好んだとされている。彼と150回ほど電子メールをやりとりした内容を元に本を出版した、東京新聞の五味洋治編集委員は、毎日新聞とのインタビューで、「金正男氏は初めて会う人には常に尊敬語を使うなど、礼儀正しく、他人に警戒心を見せることはなかった。それが今回あだになった」と言う。

酒と女性を金正男氏は好んだ。中国・北京でも富裕層の子息たちと、週に3、4回は飲食店に行って酒を飲みリラックスしていた、と中国の消息筋は証言する。また、9歳から家族と離れて海外生活を送っていたためか、中国と日本、韓国などにも友人が多かった、と五味編集委員は回想する。五味氏は「孤独な生活が多かったためか、金正男氏は友人を大事にしていた。インタビュー途中、日本と韓国の知人との電話のやりとりもよくあった」と述べた。

最高級ホテル住まいで、資金は十分だった

2013年にはシンガポールの高級ホテルで、韓国人観光客が金正男氏と遭遇、「金正男氏ではないのか、一緒に写真を撮ってほしい」と客がお願いすると、彼は「今は写真を撮ることができません。申し訳ありません」と丁寧に断ったというエピソードは、彼の性格をそのまま示しているようだ。

さらに、金正男氏はシンガポールでルイ・ヴィトンのかばんと靴を愛用し、いつも最高級ホテルに宿泊するほど、資金が十分にあったとされている。その資金は、故・金正日総書記の秘密資金の一部ではないか、との推測も出たほどである。

ハン・ジュンギュ 「ソウル新聞」記者

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