「パリの総生産額はオランダ一国に匹敵」−−イザック=マルコス・ベマラス パリ・イルドフランス地方開発局参事官

 フランスでは「サロン」と呼ばれる見本市が頻繁に開催されている。その中心であるパリ・イルドフランス地方(パリ首都圏)のパリ・イルドフランス地方開発局(ARD)の担当者がこのほど、日本企業の出展を促すため日本を訪れた。イザック=マルコス・ベマラス参事官に誘致の現状などを聞いた。

−−日本企業の見本市に対する姿勢は?

パリ首都圏では毎年400の見本市が開催されており、来場者数は900万人。出展企業は10万社を超える。これに対して日本からの出展企業数は250社、来場者数は1万9000人程度(2005年実績)。出展企業数では世界で10位、来場者数では9位にとどまっている。日本が有する潜在力を考えれば、まだまだ出展してもらうことが可能と考えている。

日本の出展企業の半数程度は繊維、クリエーション、ファッション関係が占める。日本人来場者の7割もそうした分野の見本市へ足を運ぶ。フランスの見本市に対する日本人の関心がどのような点にあるかを如実に表しているといえそうだ。

言い換えれば、このことは見本市に関する情報が日本には十分に届いていないということだ。他にもさまざまな分野の見本市が開催されているが、日本に伝えられている情報はクリエーションやファッションの分野に偏っている。今回の日本訪問は一般消費財の見本市にも出展を呼びかけるのが狙いだ。

−−どのような業種の参加を求めているのか?

あらゆる業種だ。EU(欧州連合)市場に興味のある会社にはぜひ出展して欲しい。日本企業の場合、現在はパリよりもドイツで開かれる見本市に参加する企業のほうが多い。だが、パリでは少なくともドイツと同等、あるいはそれ以上のレベルの見本市を開催している。インフラやアクセスの容易さといった面でも有利な条件にあるのがパリだ。

−−ドイツは資本財の輸出などで伸びているのに対して、フランスはファッションや高級品の国といったイメージが強く、それが日本企業の出展などにも影響を与えているのではないか?

まったく指摘の通りだ。フランス、あるいはパリは、旅行、文化、歴史、ファッション、高級品というイメージは強いが、経済力の面で秀でているといったイメージには欠ける。だが、それはあくまでもイメージにすぎず、現実ではない。フランスはどこの地方にも大きな産業があるうえ、研究開発(R&D)の拠点も各地に存在する。しかも、パリの総生産の額はオランダ一国の国内総生産の額に匹敵する大きさだ。

だが、あまりにも観光やカルチャーのイメージが強いがゆえに、経済力の強さが霞んでしまっている側面がある。見本市を通じて、パリ首都圏の経済的な実力をアピールしていかなければならない。

−−R&Dに関してはドイツに比べると不足しているとの見方もあるが…

確かに不十分な面はある。アルストム、プジョー、ロレアルといった世界レベルの企業のR&Dは他国の大企業と比べても遜色ない水準だが、中堅企業のR&Dがドイツなどに見劣りする面は否めない。というのも、中堅企業の集積自体が乏しいからだ。

このため、フランス政府はR&D拡充を目的とした産業クラスター作りに取り組んでいる。中堅・中小企業がR&Dを共同で手掛けることができるようにするための仕組みだ。

−−見本市は地域への直接投資誘致の一環という位置づけなのか?

その通り。ARDはもともと直接投資を呼び込むための任務を手掛けていた。見本市開催は投資誘致につながるという考え方だ。進出企業から見れば、見本市への出展を経て進出という順番をたどることになる。つまり、見本市は“マーケットの入り口のドア”というわけだ。

(聞き手:松崎泰弘 =東洋経済オンライン)

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