シリア難民「児童労働」、その残酷すぎる現実

トルコでは子どもたちにしわ寄せが来ている

テントで暮らすシリア難民。トルコ・ハラン市にて(撮影:大野木雄樹)

6年に及ぶ内戦で国外に逃れたシリア難民は約490万人。その6割弱に当たる280万人余りが暮らしているのが、北の隣国トルコだ。そこで支援活動に従事するボランティア団体「パルシック(PARCIC)」(東京・千代田区、井上礼子代表理事)の大野木雄樹・現地駐在員が、一時帰国に際して現地でのシリア難民の現状を報告した。

難民の多くが貧困状態にある

2月10日に東京都内で開催された報告会で大野木氏は、「特に深刻なのが子どもたち。満足な教育も受けられず、一家の労働力として働きづめの子どもが多い。トルコでのシリア難民の生活は厳しく、その多くが貧困状態にあえいでいる」と述べた。

一時帰国に際して活動状況を報告するパルシックの大野木氏(記者撮影)

大野木氏によれば、トルコにおけるシリア難民の状況は複雑だ。トルコ政府は難民認定をしない一方で、“スペシャルゲスト”として登録されれば、期限なしで滞在でき、無料で医療も受けられる――。これだけを聞けば、トルコにおける支援はそれなりに手厚いようにも思える。しかし実際には、シリア難民のうちで約22%しか登録ができていないと大野木氏は指摘した。

トルコの公立学校に通っているシリアの子どもは学齢期の児童約83万人のうち2割の約16万人にすぎないという。アラビア語を話すことのできる教師がいない、補習授業が受けられない、いじめに遭ったなどの事情でドロップアウトする子どもが多い。そもそも難民の子どもを受け入れるかどうかは各学校の校長の判断に委ねられており、そのほかの子どもは、ボランティア団体による教育支援などに頼っている。

また、ほとんどのシリア難民が労働許可を得ておらず、低賃金で違法に働かざるを得ない現状がある。そうした中で、大人と違って“文句を言う” ことの少ない低年齢の子どもが労働力として扱われていると大野木氏は説明した。

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