「2代目プリウスPHV」、大刷新に込めた野望 トヨタがHVの次を見据えて本気モードに

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フロントマスクは4連LEDランプを採用(撮影:尾形文繁)

そこで今回は通常のプリウスとの差異化を強く意識した。外観はフロントマスクが燃料電池車MIRAIのような4連LEDランプに一新したほか、リアもダブルバブルウインドウと呼ぶ2つの膨らみを持った独特なデザインのバックドアガラスを採用して、違いを強調した。

見た目だけでなく、機能面も高めた。リチウムイオン電池の総電力量を従来に比べて2倍の8.8キロワット時に増強。EV走行距離は初代の2.5倍となる68.2キロに伸ばした。従来は回線工事が必要だった家庭充電も見直し、一般のコンセントから充電できるようにした。

販売目標台数は初代の5倍以上

さらに従来は2つあるモーターのうち、駆動用に1つしか使っていなかったが、新型車は両方のモーターを駆動用に使えるようにし、EV走行での最高時速を100キロから135キロに上げたことも特徴だ。電池容量を増やせば車重が重く燃費も悪くなるが、バックドアに初めて炭素繊維強化プラスチック(CFRP)を採用。鉄より丈夫でアルミより軽い素材で軽量化に努めた。

新型プリウスPHVの国内での月間販売目標は2500台。国内販売担当の村上秀一常務役員は「初代プリウスPHVの5倍強の台数拡大を目指している。事前受注は8000台ある」と意気込む。「普及してこその環境だ」との思いがあり、外観や機能性が大幅に向上したものの、初代と同程度の最低価格で300万円水準に抑えた形だ。ただそれでも最低価格は通常のプリウスより約80万円高い。価格差に見合った価値を伝えようと、人気女優の石原さとみさんをテレビCMに採用するなど宣伝活動にも力を入れる。

トヨタがPHVを重視するのは、次世代エコカーをめぐる競争が激しさを増しているからだ。トヨタはハイブリッドのプリウスの量産化に世界で初めて成功。ハイブリッドではトヨタが世界でダントツだ。

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