東芝が米原発で巨額減損、志賀会長は辞任

メモリー事業は100%売却の可能性も

 2月14日、東芝は2016年4─12月期に米原発事業関連の減損損失を7125億円計上すると発表した。1月撮影(2017年 ロイター/Toru Hanai)

[東京 14日 ロイター] - 東芝は14日、2016年4─12月期に米原発事業関連の減損損失7125億円を計上すると発表した。この結果、12月末時点の株主資本は1912億円のマイナスとなり債務超過に転落する。巨額減損の責任を取り、原子力部門を率いてきた志賀重範代表執行役会長が15日付で会長職を辞任する。会見した綱川智社長は「重く責任を感じている」と語った。

東芝は同日、関東財務局に対して四半期報告書の提出期限延長を申請、承認された。同日発表した数値は監査承認前のものとなるため、今後、大きく修正される可能性がある。

同社の説明によると、決算数値の確定が遅れ、延長を申請する事態を招いた原因は内部通報だった。米原発子会社ウエスチングハウス(WH)社による米原発サービス子会社CB&Iストーン・アンド・ウエブスター社の買収に絡み、内部統制の不備を指摘する内部通報があったため、さらなる調査が必要と判断した、という。

四半期報告書の新たな提出期限は3月14日で、決算発表は最大1カ月の延期となる。同社はこうした状況について、あす取引銀行に説明する。

2016年4─12月期の純損益は4999億円の赤字だった。17年3月期の純損益予想も3900億円の赤字で、株主資本は1500億円のマイナスと依然として債務超過の状態が続く。

メモリー事業は100%売却の可能性も

このため同社は、メモリー事業を分社化するとともに、外部資本の導入を検討。今後、出資候補者との交渉を加速させる意向だ。

分社化について、綱川社長は「マジョリティ確保にはこだわらない。柔軟な体制で進めていきたい」と述べ、これまでの20%未満の売却を転換、過半を売却することも視野に入れていることを明らかにした。100%売却の可能性についても「すべての可能性が有り得る」と排除しなかった。

メモリー事業は東芝の稼ぎ頭で、経営再建の柱に位置付けていた事業だ。今回100%売却の可能性も否定しなかったことで、巨額損失による危機の深刻さがあらためて浮き彫りになった。

メモリー事業以外のグループ会社で売却を検討しているところは「ない」という。一部ではスイスの電力計メーカー、ランディス・ギアの減損処理も検討していると報じられたが、これについては「今のところは減損の兆候はない」(平田政善専務)と否定した。

会見では原発事業の縮小・撤退可能性を問う質問が相次いだ。綱川社長は燃料・サービスは高収益だとして今後も継続する意向を示したが、米ウエスチングハウスの持ち株比率については「パートナーがいれば、(売却して)減らしていく」との認識を示した。現在87%の持ち株比率を50%未満に下げる可能性についても「すべてのことが有り得る」と否定しなかった。

ウエスチングハウスの買収は正しかったのか、との質問に対し、綱川社長は「数字を見ると正しいとは言いにくい」と述べ、判断ミスの可能性をほのめかした。

同社長は「社会インフラの量と質を増やしていきたい」と今後の方針を強調したが、優良事業だった医療機器事業を売り、稼ぎ頭のメモリー事業まで手放す事態になれば、将来の不透明感はますます強まりそうだ。

(浜田健太郎、志田義寧)

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