英FTの「特命編集者」は何をやっているのか 実験的なコンテンツで未来を模索

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企業文化、記事作成のプロセス、ワークフローは否応なく変化するだろう(撮影:今井康一)

パブリッシャーはみな切羽詰まっていて、まっさきに予算を削られるのはたいてい実験的なプロジェクトだ。それを防ぐため、フィナンシャル・タイムズ(Financial Times:FT)は昨年、「特別プロジェクト」エディターにロビン・クウォン氏を任命した。同氏の職務は、永続的プロダクトにつながらないこともある期間限定の実験的な取り組みを率いることだ。

実現しなかった夢やアイデアを

この記事はデジタルマーケティング戦略に特化したメディア「DIGIDAY[日本版]」(運営:メディアジーン)の提供記事です

実験の内容は幅広く、フェイスブック限定の独自コンテンツの投稿から360度ライブストリーミング動画までさまざま。実験は特別編成で実施されるので、クウォン氏はそのときどきで異なるチームと一緒に、期間限定で仕事をすることが多い。同氏の仕事内容は、有能な編集者と商魂たくましいプロダクトマネージャーの中間といったところだ。

「大半の記者は、とくにきちんとした人ほど、実現しなかった夢やアイデアを山ほど抱えている。思いついたことをどこにも受け入れてもらえない、助けてくれる人がいない、といったことが理由だ」と、クウォン氏は指摘する。FTのインタラクティブジャーナリストだった彼は、こうしたイレギュラーなプロジェクトの責任者不在に不満を覚え、実験的プロジェクトを組織化する役割を自ら担うこととなった。

「アイデアの核心にはつねに、我々が達成したい目標がある。しかし、それを最終的なプロダクトに落とし込み、ほかに誰を参加させるかを議論することが、私がここに来た理由だ」と、クウォン氏は説明する。

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