道交法の「認知症検査強化」で広がる波紋

高齢者の交通事故抑制の大きな一歩だが…

認知症と診断され免許が失効すれば、引きこもることになって病状が悪化する恐れも…(写真:maroke / PIXTA)

高齢運転者の交通事故抑制へ、認知機能検査を強化する改正道交法が3月12日に施行される。「認知症の恐れ」との判定で医師の診断が求められるようになるが、医師側は「診断は困難な場合があり、診断によっては医者が事故の責任を問われる可能性もある」などと負担と責任の大きさを不安視する声もある。2015年に診断が必要とされた運転者は福井県内で31人。改正後は年間500人程度に急増するとみられている。

改正法では、75歳以上の運転者は3年に1度の免許更新時に加え、信号無視や逆走など認知症の影響と見られる特定18項目で違反した場合にも認知機能検査が義務付けられる。検査で「認知症の恐れがある(1分類)」と判定されると、医師の診断を受けなければならない。県医師会などによると、診断は対象の高齢者のかかりつけ医が行う。対応が難しい場合は、専門医や認知症サポート医などがいる県内169の医療機関を紹介する。

認知症診断の難しさや責任の重さが医師の負担に

認知症研究を専門とする濱野忠則福井大准教授は「認知症診断の難しさや責任の重さから、受け入れる医師は多くないのでは」と推測する。認知症の診断には、問診や認知機能テスト、血液検査、頭部CTなど受診が数回に及ぶこともあり、医師や対象者の負担は少なくない。さらに「認知症ではないと診断した高齢者が人身事故を起こし、医師が訴えられるケースも懸念されている」という。

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