トランプ対メディア「仁義なき戦い」の行方 就任早々壮絶なバトルが始まった

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また、スパイサーは23日の初の定例記者会見で自らの発言の証拠を示すか、少なくとも何らかの対応を取らないかぎり、その信頼性には傷が付くだろうとフライシャーは述べた。

「ショーン(・スパイサー)の第1のクライアントは米大統領とその周辺の人々で、第2のクライアントは記者団だ」とフライシャーは述べた。「そして彼は両方に仕えなければならない。つねに真実に導かれながらだ」。

21日のトランプとスパイサーの嘘を含む発言について、多くのメディアは見出しに「虚偽」「嘘」といった言葉を用いて伝えた。トランプ支持の右派サイト「ブライトバート・ニュース」は2人の言うことを真に受けたのか、「スパイサー大統領報道官、メディアの『故意に事実と異なる報道』を非難」と報じた。

憲法違反の可能性を指摘する声も

米政府系放送局ボイス・オブ・アメリカ(VOA)はスパイサーの発言が不正確だったことを指摘し、事実との相違点を列挙したAP通信の記事を流した。

もっともVOAは、その前にツイッターで文脈を無視してスパイサー発言を何度も引用し、彼の言い分を是認しているのかとの疑問を招く結果となった。VOAのアマンダ・ベネット局長は、トランプ政権からの指示や干渉はまったくなく、VOAとしてきちんとした説明が必要だとすぐに判断したと述べた。

「舞台裏では、対応を求めるダイレクトメッセージが飛び交っていた」とベネットは22日のインタビューで答えている。

これを受けてツイッター上での軌道修正が行われ、スパイサー支持と受け取られかねないツイートも削除された。

言論の自由を定めた憲法修正第1条を重視する人々から見れば、トランプ政権への不安材料はすでにいくつも出てきている。

米自由人権協会(ACLU)は声明を出し、スパイサーの発言を「政府による検閲の可能性がある」と非難。報道の自由の原則に対するトランプ政権のいかなる脅しも、憲法修正第1条の「力強い防御」に阻まれるだろうと声を上げた。

ACLUは声明で「もしトランプが憲法修正第1条に挑戦しようというなら、法廷の場でわれわれが相手になる」とも述べている。

(執筆:Sydney Ember記者およびMichael M. Grynbaum記者
翻訳:村井裕美)

(c) 2017 New York Times News Service
 

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