パナソニックのトイレが急成長を遂げたワケ 有機ガラス製「アラウーノ」のハイテク構造

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愛知県にある幸田工場内、アラウーノ生産ラインの様子。機械化が進むなか、繊細な作業を要する最終工程では人が組み立てます

トイレの洗浄テストには、汚れを可視化するための「疑似便」が用いられます。実際の便に近い素材を組み合わせて、硬いもの、軟らかいもの、液状のものなど、多くの種類の疑似便を用意するといいます。

「専任のスタッフが、それこそ日夜研究を重ねて疑似便を作ってくれました。汚れが付きにくい有機ガラス素材の採用も、少量の水でキレイに流し切る『新スパイラル水流』の開発も、14年に導入した『トリプル汚れガード』(後述)も、疑似便で数えきれないほど積み重ねたテストによる賜物です」(坂本さん)

そして、初代アラウーノの誕生から10年を迎えた2016年、新型アラウーノに10種類のカラバリが登場しました(記事冒頭写真)。

アラウーノの設置例。10色をラインナップするトップカバーのカラーに合わせて、トイレ空間を自由にコーディネートできます

「トイレの進化は、便器の構造のみならずトイレ空間全体に及んでいくべきであると当社は考えています。トイレは“究極のプライベート空間”でありながら、これまではデザインとしてのこだわりが希薄でした。当社が本製品で提案している『トイレ空間を自分らしくコーディネートする』という考え方が、これから定着していけばいいと思います」(坂本さん)

アラウーノの技術「トリプル汚れガード」をチェック!

新素材の採用などで「全自動おそうじ」を実現するアラウーノは、「おしっこで汚さないトイレ」を提案。以下の3つの機構により、「ハネ」「タレ」「モレ」をしっかりガードします。

その1モレガード

着座した際にも、便座と便器との間に小便が入りにくい構造を実現。便座の内側にせり出したフチに当たって、便器内に落ちる仕組みです。

次ページその2 ハネガード
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