「再婚」を希望する人々が悩む法的問題とは 結婚の「4分の1」が再婚という時代が来た中で

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回答「義務ではないが、法的に問題となるケースも」

一般論としては、再婚に際して離婚歴を明らかにしなければならない義務はありません。

ただし、再婚相手が「初婚であること」を結婚の重要な条件としていたにもかかわらず、再婚であることを隠していたような場合には、再婚相手から、「詐欺」を理由に婚姻の取消を求められたり、慰謝料を請求される可能性があります。したがって、再婚相手が「初婚であること」を非常に重要視しているような場合には、離婚歴を秘密にすることは法的に許されないと考えられます。

なお、前の結婚の際に子どもがいる場合も、基本的には同じ考え方をすることになります。ただ、子どもがいると、再婚後に、前妻から養育費を請求される可能性があります。その場合、再婚相手が想定していなかった経済的負担が生じることとなり、より「詐欺による婚姻の取消し」が認められやすくなると考えられます。

仮に結婚が取り消されなかったとしても、再婚相手との夫婦関係に重大な影響を及ぼすおそれがありますので、ちゃんと離婚歴を説明して再婚相手の理解を得た方がよいでしょう。

注意が必要なのは「相続」と「再婚できる時期」

ここまでは、具体的な相談に基づき、お答えしました。ただ、弁護士として、他にもいくつかお伝えしたいことがあります。

1つ目が、相続についてです。 仮に、配偶者に離婚歴と子どもがいた場合、その配偶者が亡くなった際には、その子どもも相続権を有しています。通常、亡くなった方の預金を解約したり、亡くなった方の名義の土地について相続登記をしたりする際は、相続人全員が署名押印した書類が必要となります。配偶者が亡くなった際には、前妻との間の子どもにも連絡をする必要があります。

2つ目が、女性の再婚できる時期についてです。男性は離婚してすぐからの再婚ができますが、女性は少し時間がかかります。離婚後すぐに再婚すると、再婚後に生まれた子どもの父親が前夫なのか現在の夫なのか分からないという事態が起こりうるので、そのような事態が生じるのを避けるためです。

最近まで、女性の再婚は次のいずれかの条件を満たす必要がありました。

(1)離婚後6か月を経過した後
(2)離婚の時点で妊娠していた子どもを離婚後6か月以内に出産した場合
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