世界「最凶」の毒を持っている生物は何か? その毒を自ら体験した科学者たちがいる

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危険な経験をしながらも、猛毒生物と出合うため今も世界中を駆け回っている生物学者、クリスティー・ウィルコックス(写真:アーロン・ポメランツ)

この世で、刺されるともっとも痛い昆虫は何か――。

毒ウニのトックリガンガゼモドキに刺された著者。この後、強烈なめまいと吐き気に襲われる(写真:クリスティー・ウィルコックス)

そんな恐ろしい問いに答える本がクリスティー・ウィルコックス(ハワイ大学博士研究員)による『毒々生物の奇妙な進化』(原著名:『VENOMOUS』)だ。この本では、体を張って猛毒生物の謎に挑む、ちょっと変わった研究者たちが数多く登場する。その中の1人、昆虫学者のジャスティン・シュミットは、冒頭の疑問に答えるべく、ある研究を行って「刺されると痛い昆虫ランキング」を作りあげた。

方法はいたってシンプルだ。自ら昆虫に刺されるのである。彼はさまざまな昆虫(41属、78種)の毒針に、進んでその身をさらしてきた。そして、その実体験をもとに、痛みを0.0(無痛)から4.0(底知れない苦痛)まで、ランク付けしたのである。

スズメバチの毒は「最凶」とはほど遠い

毒液をもつカモノハシの蹴爪(写真:クリスティー・ウィルコックス)

では、その恐ろしいランキングでナンバーワンの栄光に輝いたのはどの昆虫だろうか。

「刺されると痛い昆虫」といわれて、まず頭に浮かぶのはハチではないだろうか。たとえば、日本でもなじみのあるスズメバチはどうだろう。その一種、ホオナガスズメバチの痛みは2.0だ。シュミットによれば、「芳醇(ほうじゅん)で、力強く、ちょっと歯応えのある感じだ。手を回転扉に挟まれたときの痛みに似ている」。

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