日米首脳会談後は再びドル高円安になる? トランプ大統領の「ドル高牽制」はどの程度か

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もちろんテクニカル指標上、一つの重要な分岐点とされる1ドル=112円半ばのフシ(竹のフシのようなものです)をいったん下回った現実は受け止めるしかありません。それでも、次のフシとなる110円処までの円高進行となったとしても、今のように「米国株の堅調さが日経平均株価の下値を支え続ければ、それでよし」なのです。

その状況で円安方向に反転した際には、「ここ直近の最高水準でもなければ、そんなに下げてもいない」、要するに居心地のよいところにある株価は上昇しやすいはずです。個別銘柄で言えば、比較的高い位置にある日立製作所やソニー、ホンダ、メガバンクなどが出てくるでしょう。また3月からは海外のイベントが多くなりますが、複数の相場関係者に聞くところによると、あまり気にしてないようです。

NYダウは2万0958ドル水準まで上昇も

日本の話が続きましたが、世界の中心である米国市場では、ダウ平均が再び2万ドルの大台を回復、取引時間中の史上最高値を更新しました。個人投資家への税金還付や配当金再投資、ミューチュアルファンドによる投資再開など、季節的な需給要因などを通じて、一段高への期待が高まっている局面です。

上値の余地を想定した場合、過去の高値のフシはありませんので、いわゆる青天井です。株価を予測する際に使用されることが多い一目均衡表(E、N、V計算値)や、フィボナッチ数列、移動平均線からの上方かい離率などで判断するしかありません。

そこで、過去の動きを、長期の株価の値動きを占う上で大事な「200日移動平均線」からのかい離率でみると、おおむね200日線から7%前後の上方かい離で頭打ちになることが多いのがわかります。もしそこを超えると、12%前後まで上昇するケースもありました。今現在のダウ平均は7%前後を上回り、逆にそこをサポートにして強含んでいる状態です。

米1月雇用統計の発表があった2月3日時点で、NYダウが200日線から12%かい離したと仮定していくらになるかといいますと、2万0776ドルです。ただし、200日線はジワリと上昇が続くため、12%かい離の水準も、おのずと上昇します。筆者が重要なポイントとみている、2015年の高値と安値の値幅を、2015年安値から「倍返し」で上昇させた2万0958ドル水準に近づいてきました。

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