三菱商事

三菱商事、本気の「障がい者スポーツ支援」

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スポーツには大きな力がある。実際に取り組むことによって、健康的になることはもちろん、明るく前向きに暮らすことができたり、人として成長する機会も多くもたらしてくれる。こうしたスポーツが持つ力を誰もが享受できるよう、三菱商事はかねてより障がい者スポーツ支援に取り組んできた。その活動はますます大きなうねりとなって、新しい時代を拓こうとしている。

車いすサポートボランティア講習会を開催

昨年12月某日、東京・丸の内にある三菱商事本社ビル。その大会議室で、壮絶な半生を語る人がいた。

車いす陸上選手
副島正純 氏
毎年6大メジャーマラソン大会を中心に多くのマラソン大会に出場。世界トップレベルの車いすアスリートとして活躍している。アテネパラリンピック銅メダリスト

1994年7月、仕事場で作業中に300kgの鉄板の下敷きになり、一命は取り留めるものの脊髄を損傷し、一生車いすの生活だと宣告。絶望と不安の日々の中で、ようやくありのままの自分を受け入れた後、車いすスポーツに出会い、車いすマラソン・アスリートとして挑戦する人生を拓いた副島正純氏――毎年2月に行われる国内最大級とも言えるマラソン大会の車いす部門レースディレクターを務める人だ。実は、この大会は今年からフィニッシュ地点を東京・丸の内に変更した。そのため、車いすアスリートが完走後に利用する場として、三菱商事が本社のスペースを提供することにしたのだ。

それに先立ち、副島氏を招いて「車いすサポートボランティア講習会」を開催。副島氏のこれまでの人生と車いすマラソンに関する話を通じて、社員に障がい者スポーツについての知識を深めてもらうとともに、社員がボランティアとして大会をサポートする場合に備え、レース用の車いすの取り扱い方を説明してもらったわけだ。

三菱商事本社で行われた「車いすサポートボランティア講習会」。約100名の社員が参加した

競技者と応援者に働きかける活動を推進

もともと三菱商事は、企業理念である「三綱領」を拠り所に、いち早く社会貢献活動をスタートし、障がい者および障がい者スポーツの支援に対して積極的な姿勢を貫いてきた。79年、日本における障がい者スポーツの父とも呼ばれる中村裕博士が、障がい者の自立と社会参加を図るために設立した「社会福祉法人 太陽の家」への支援を開始。83年に双方の共同出資によって情報処理会社「三菱商事太陽」を創設した。79年にはさらに「社会福祉法人 東京コロニー」へIT事業用コンピューターを寄贈、93年からは重度身体障がい者の在宅パソコン講習事業への支援を継続して行っている。また、91年から「大分国際車いすマラソン大会」の協賛企業となり、毎年受付やコース整理などのレース運営にも大勢の社員がボランティアとして参加している。

そして、2014年。戦後の財閥解体を経て、新生・三菱商事が発足してから60年を迎えたこの年に、こうした長きにわたる取り組みを、さらに充実させていくことを決定した。目標は「障がい者スポーツの裾野を広げ、障がい者スポーツに対する理解度・認知度を高めること。つまり、競技者と応援者、両者に対する働きかけを長期にわたり継続して行うこと」と同社担当者は言う。この活動を社内外に広めていくために、「DREAM AS ONE.」というプロジェクト名も定めた。「競技者、応援者がともに一つになり、夢に向かって進んでいく」という思いを込めたものだ。

実際の活動も競技者、応援者の2つを軸として多岐に及ぶ。たとえば、より多くの障がい者・障がい児にスポーツを楽しんでもらう機会を提供しようと、障がい児向けのスポーツ教室を開催している。また、前述の大分国際車いすマラソン大会のほか、「かすみがうらマラソン兼国際盲人マラソン」など、さまざまな大会やイベントの協賛を行い、社員ボランティアが運営をサポートしている。

一方、応援者への働きかけとしては、障がいの有無にかかわらず、多くの人が競技者と一緒に参加できるスポーツイベントをはじめ、障がい者スポーツの基礎セミナーや、さまざまな協会団体の協力による「ボランティア養成講座」を定期的に開催し、障がい者スポーツの啓蒙に努めている。さらに、日本を代表する障がい者アスリートやマラソンランナーの高橋尚子さんなどの著名人をアンバサダーやサポーターに迎え、イベントやセミナーの際に参加してもらっている。特にアンバサダー、サポーターである障がい者アスリートたちは、「DREAM AS ONE.」の活動をより良いものへと昇華させていく支えとなっている。「彼らの視点や意見なくしては、われわれの活動は成り立たない」と担当者をして言わしめるほど、その存在感、役割は大きい。

 

誰もがドリームメーカー、チェンジメーカーになれる

現在、盲人マラソンの第一人者である高橋勇市氏、ウィルチェアーラグビー日本代表の今井友明氏、池崎大輔氏の3名は三菱商事の社員で、アスリートとして活躍する傍ら、社内外においてセミナー講師なども務めている。「彼らはともに働く仲間であり、彼らが頑張っている姿を見ることで、社員は皆、さまざまな気づきを得たり、触発されたりしている」と社員は率直に語る。アスリートたちの身近にいる社員たちの認知と理解が高まれば、強い発信力を持つ応援者になるに違いないだろう。

先に紹介した副島氏も、こうした企業や社員の動きを非常に喜んでいる。「障がい者スポーツを企業がサポートするというのは、何も金銭面に限ったことではありません。競技者からすれば、そこは大事なところですが、それ以上にその企業の社員が一人でも多く障がい者スポーツのことを知り、興味を持って僕らのことを応援してくれることが、とても嬉しいのです。逆に社員の方々が大会を観戦しにいらして、僕らが頑張っている姿を見て『自分ももっと頑張ろう』と気持ちを奮い立たせてくだされば、なお有難いと思います。障がいのある、なしによらず、みんなが同じ方向を見つめて、一つになって頑張っていく。そんなふうに共生していく社会の実現が、私自身の目標です」

可能性を信じて夢を実現しようとする人。夢をかなえようと頑張っている誰かを応援する人。今の世の中をより良いものに変革していこうとする人。そんなドリームメーカーやチェンジメーカーが、これから「DREAM AS ONE.」を通じて続々と誕生していく予感がする。
 

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