勤務問題を原因に、年間546人の30代が自殺

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警察庁によると、全国の自殺者数は、2003年に3万4427人と最悪を記録した後も顕著な減少はみられず、直近07年は03年に次ぐ3万3093人となった。

年代別にみると、近年増加が目立つのが「60歳以上」と「30歳代」。いずれも07年に前年比で大幅増となり(60歳以上1万2107人、30歳代4767人)、過去最悪を更新した。前者については老年人口そのものが増加傾向にあるため、自殺率(人口10万人当たりの自殺者数)の著しい上昇は認められないが、30歳代に関しては人口が減少しているだけに自殺率は上昇傾向だ。自殺者総数が3万人を超えた1998年に30~34歳で20.6、35~39歳の層で22.4だった自殺率は07年にはそれぞれ22.3、25.4に達した(厚生労働省「人口動態統計」)。

30代の自殺者について自殺の原因や動機をみると、「家庭問題」(4518人)や「健康問題」(1850人)が多数を占めているが、「勤務問題」を原因や動機として自殺した人が他の年齢層に比べて相対的に多い。遺書等から明らかに推定できるケースだけで546人(うち男性490人)に上る。「問題」の内容で最も多いのが「仕事疲れ」の171人(うち男性153人)で、「職場の人間関係」が144人(同123人)でこれに続く。いずれも、自殺者に占める割合でも絶対数でも40代・50代を大きく上回る。それらを理由に自殺した人の4人に1人以上が30代ということになる。

(『東洋経済 統計月報』編集部)

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