プーチンを抑え込むヒントはロシア史にある 西側の足並みが乱れた時に、彼らは出てきた

✎ 1〜 ✎ 319 ✎ 320 ✎ 321 ✎ 最新
拡大
縮小
2016年11月、モンテネグロに掲げられたトランプ氏とロシアのプーチン大統領の看板。本当に折り合えるのか? (ロイター/Stevo Vasiljevic)

ロシアが今、多くの西側の国々の首都で政策論議の中心に据えられている。また米国のトランプ大統領はロシアとの2国間関係を改善するとの野心を持って政権の座に就いた。この目標の難しさを理解するには、ロシアの歴史への理解が必要だ。

ソ連崩壊からすでに四半世紀が過ぎている。2017年は何百年も続いた帝政を打倒したロシア革命の100周年に当たる。

ロシアは帝国主義時代、ユーラシア大陸で領土を広げてきた。ロシア帝国がシベリア東方や中央アジアへの版図を広げていた19世紀に、米国は西部へと拡大し、欧州列強はアフリカを植民地化した。

領土拡張は二転三転

1917年のロシア革命後、中央アジア諸国やウクライナ、フィンランドがソ連からの独立を図った。レーニンは当初、こうした要求を認めるかに見えたが、すぐに旧ロシア帝国領をソ連に組み入れるべく赤軍を展開。ウクライナや南コーカサス、中央アジアでは目的を達した。

しかし、フィンランドとバルト三国で失敗したほか、1920年にワルシャワ郊外での戦いで大敗したため、ポーランドなどの諸国が独立した。

続くスターリンは、テロと強制的な工業化を通じ再興を図った。その後、ヒトラーとの秘密交渉などを通じて、バルト三国のほか、フィンランドやポーランドの一部を奪回。多大なる犠牲を出してナチス・ドイツに勝利した後は、ソ連の勢力圏を欧州の中心部まで広げた。

フィンランドだけは奇跡的に中立を保ったが、バルト三国はソ連に編入され、ポーランドなどは衛星国となった。

次ページ「歴史の方程式」を破るには?
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT