「タラレバ娘」ほど今の自分を変えたくはない 自分が今何をしたいのか、把握していますか

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そうです。「できない」のではなく「やらない」だけなのです。「できない」という強い感情に支配されているだけで、「しない」を選んでいるのは自分であり、そのための理由をこじつけているのです。

「できない」気持ちは、「やらなければ」という思いから派生していることも多く、本来やりたくないことの場合もあります。また、実は自分にとってそんなに価値のないことなのかもしれません。

「やらなかった」ことは、重要でなかったこと

本気で何かを実現したいと思ったら、必ず行動に現れます。行動に現せないということは、自分にとって、それほど重要ではないのです。

人と会うことを例に挙げてみましょう。皆さんが、ものすごく忙しいときに、「会いたいから時間を作ってほしい」と声をかけられたとします。その人が、あなたがその人に会う価値を見出せない場合、「今、忙しいので」と断る場合もあるかと思います。しかし、あなたの中での優先順位が高い相手の場合、予定をやり繰りして、なんとしてでも会う時間を確保しようとするはずです。

もう1つ例を挙げます。何かの会にお誘いされて「考えてみます」と答えた場合、行く意思は何パーセントくらいありますか? そう質問すると、ほとんどの方が「限りなくゼロに近い」と答えます。それなのに、その場では、行けたら行こうかなという気持ちがあるような気がして、実際の自分の気持を把握できていないことも多くあります。

本当に行く気があれば即答するか、スケジュールを確認次第、返事をする旨を伝えるはず。あいまいにするということは、その気がないということです。ただ、それを自分でも意識できていないことが多くあります。だからこそ、後になって「行っていれば」と思ってしまうことになるのです。

ただ、そもそも行こうとは思っていないので、「行っていれば」の選択肢は過去にもありません。

日々過剰に情報が流れ込んできて、多くの選択肢がある昨今、自分の価値観や思いを具現化するのは容易ではありません。しかし、それができなければ、いつまでも過去の自分の行動のせい、果ては人のせいにしたまま、現状の把握は不可能です。

今、自分はどう感じているのか、何が好きで、何が嫌いなのか、本当は何をしたいのかを把握することができれば、おのずと今やるべきことが見えて、行動に変化が現れてきます。

あのとき、「誘いを断らずにいれば」「勇気をもって行動していたら」などと言い続けなくて済むように、「今」の自分を見て、自らの未来を切り開いていくことが大切です。

大野 萌子 日本メンタルアップ支援機構 代表理事

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おおの もえこ / Moeko Ohno

法政大学卒。一般社団法人日本メンタルアップ支援機構(メンタルアップマネージャ資格認定機関)代表理事、産業カウンセラー、2級キャリアコンサルティング技能士。企業内健康管理室カウンセラーとしての長年の現場経験を生かした、人間関係改善に必須のコミュニケーション、ストレスマネジメントなどの分野を得意とする。現在は防衛省、文部科学省などの官公庁をはじめ、大手企業、大学、医療機関などで年間120件以上の講演・研修を行い、机上の空論ではない「生きたメンタルヘルス対策」を提供している。著書に『よけいなひと言を好かれるセリフに変える言いかえ図鑑』(サンマーク出版)がある。

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