「スカウトでアルバイト採用」は定着するか 人手不足でも「採用弱者」が負けない方法

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ビズリーチの「スタンバイ」は、全業種・全職種・全雇用形態を対象にしているため、アルバイトについても事業者が能動的に採用活動を行うことができる。

アルバイトの求職者は、求人情報の中から条件に合うものを自分で探して応募することが一般的だったが、この機能では求職者が簡単なプロフィールと「やってみたい仕事内容」などを登録すると、逆に事業者側からメッセージでスカウトが届き、その後すぐに条件の詳細などについてやり取りを開始できる仕組みになっている。

一方的な求人広告は情報が少なすぎる

「通常の求人広告では、条件について一般的な事柄しか書いてないことが多い。しかし、人手不足を解消するため、採用することが最重要課題であるなら、アルバイト・パートの情報を『見える化』したうえで事業者側も積極的にアプローチできるようにして、お互いに交渉できる余地をつくるほうが効率のいいマッチングが可能になる」(竹内氏)

浅いコミュニケーションから始めてしまった方が、お互い効率がいい

働く条件に制限が多い立場の筆頭は、子どもを抱える主婦だろう。日本の非労働力人口における就業希望者は、2013年平均で428万人。そのうち女性は約315万人と、およそ4分の3を占めている。また、主婦が働けない理由として「適当な仕事がありそうにない」と回答した人は97万人にも上り、最多の「出産・育児のため」(105万人)とほぼ変わらない(総務省 2015年「我が国の労働力人口における課題」)。「健康上の理由」(38万人)や「介護・看護のため」(16万人)よりはるかに多い。女性の働く意欲があっても、就業に結び付いていないことが実態だ。

しかし、社会人経験もあるため学生と比べて教育コストが低く済むうえ、シニアと比べて体力もある主婦は、最近ではアルバイト人材としての期待が大きく高まっている。

ビズリーチが行った事業者向けのアンケート(回答数107)でも、「パート・アルバイトを探す際、特にどのような方からの応募を希望するか」の問いには「主婦」と答えた企業・店舗が最も多く、31%となっており、「アルバイトのプロ」であるフリーターの29%を上回りトップ。「仕事内容や求めるスキルに合致していそうか」「特にまじめに働いてくれそうか」という質問項目においても、学生やシニア、外国人に大きな差をつけている。

ところが、求人票の多くは、詳細について「応相談」などとあいまいになっていることも少なくない。こうした情報の具体性のなさが、主婦の求職者からすると応募への壁になっている。限られた条件の中で仕事を探している応募者にこそ、事業者が直接アプローチして状況を把握してしまったほうが、結果として効率的なマッチングにつながる可能性は高いといえるだろう。

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