ソニーが豪語、「2017年度利益倍増」の現実味 巨額減損でウミを出し切り、過去最高益圏へ

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平井一夫社長率いるソニーは、今度こそ復活を宣言できるのか(写真は2016年6月の経営方針説明会、撮影:梅谷秀司)

「2017年度に営業利益5000億円という目標は変わっていない。チャレンジングだが達成に向けて全力を挙げていきたい」

2月2日に行われたソニーの2016年4~12月期(第3四半期)決算会見で、吉田憲一郎CFO(最高財務責任者)は2度目の下方修正を発表した直後にもかかわらず強気な姿勢を崩さなかった。

第3四半期までの業績は売上高が5兆6996億円と前年同期比で約1割の減少だった一方、営業利益は1943億円となり、前年同期から半減という結果に終わった。また、決算発表と同時に2016年度の営業利益計画の下方修正も発表。従来予想の2700億円から2400億円に引き下げた。

営業利益が半減しても株価は安定

大幅減益の背景にはまず、2016年4月の熊本地震で工場が被災した半導体事業や、それに伴い生産が減ったカメラ事業等で516億円の減益影響が出たことがある。そして、2016年10月に発表した村田製作所への電池事業譲渡に伴う減損損失330億円、そして今年1月30日に発表された映画事業の減損損失1121億円を計上したことも重なった。

想定外の損失の発表が続くソニーだが、意外にも市場の反応は冷静だ。映画の事業の減損が発表された翌日の1月31日のソニーの株価は2.3%安にとどまり、日経平均株価の1.7%安と比較しても大きな乖離はない。

今期の株価は2016年7月以来安定して3000円台を維持している。震災の影響で減益を余儀なくされた今期に、他の事業でもみそぎを済ませようとするソニーの姿勢を市場が支持しているものとみられる。冒頭の吉田CFOの発言はその期待に応えたい意思の表れといえそうだ。

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