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ボランティアの輪を広げる「組織の力」 東京都共助社会づくりを進めるための
社会貢献大賞受賞4団体の担当者に聞く

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地域社会で
子育てのスタートをサポート

「35(産後)サポネットin 荒川」は、首都大学荒川キャンパスの学生や教員、地域の育児支援ボランティアが連携して子育てサポートを行うボランティア団体。2006年の設立以来、乳児がいる家庭への訪問育児支援などを行ってきた。

35【産後】サポネット
in 荒川
代表
藤田房江

代表の藤田房江さんは、かつて保育士として働いていた時に、「保育園に入るまで誰の手助けも得られず大変だった」という母親たちの声を聞いてきたという。

「下町のイメージが強い荒川区でも育児の孤立化と無縁ではありません。特に、産後すぐの赤ちゃんとお母さんには、なかなか公的支援の手が及ばない。そのような母子をサポートしたいとの思いから活動を始めました」(藤田さん)

家庭訪問支援では、生後6か月までの乳児のいる家庭を学生や地域ボランティアが訪問し、赤ちゃんのお世話や家事の手伝いなどを行う。年間のボランティア派遣件数は1300件にものぼる。

「育児に対する考え方は十人十色。こちらの価値観を押しつけず、お母さんの要望を汲むことが大切です。利用者の中には、『次は自分がボランティアとして困っている人をサポートしたい』というお母さんもおり、助け合いの輪が広がっていると感じています」(藤田さん)

地域全体で子供を育む姿勢は、区民からも高い評価を得ているようだ。一昨年、日経DUALが行った「共働きで子育てしやすい街ランキング東京編」で、荒川区は1位を獲得した。

「今後も、活動を通じて地域の人々との結びつきを強め、みんなが支え合う温かい街づくりに役立てられればと願っています」(藤田さん)

社員のビジネススキルを
社会に役立てる

今回の「東京都共助社会づくりを進めるための社会貢献大賞」では、大賞の他、企業部門とその他民間部門において計3団体が特別賞を受賞した。

企業部門で受賞したパナソニックは、従業員のビジネススキルを活かした新しい形のボランティア活動、「プロボノ」を実践。事業計画の策定やホームページの構築等により、NPO法人への支援を行っている。

その他民間部門での受賞となった「東京日本語ボランティア・ネットワーク」は、都内の日本語教室のネットワークとして外国人への教室紹介や、ボランティアへの情報提供、講習会等で日本語教室活動を活性化させている。

また、その他民間部門で受賞したもう一団体、「認定特定非営利活動法人トリトン・アーツ・ネットワーク」は、第一生命ホールを拠点に、ボランティアがスタッフと協同し、イベントやロビーコンサート、学校や介護施設等に音楽を届ける活動等を運営している。

ボランティア活動の促進には、一人ひとりの意識はもちろんだが、企業や団体によるバックアップや体制作りも欠かせない。誰もが暮らしやすい社会の構築のため、「組織の力」が求められている。

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