素早い経営判断を可能にする取り組みとは ソフトブレーン
ITを導入したのに業務効率化しないという悩み
内閣府が2014年に発表した資料によると、2013年における日本の労働力人口は約6500万人。その数は今後大幅に減少し、現状維持のままであれば2060年には約3700万人になると予測されている。2030年までに出生率が2.07へ回復し、女性や高齢者の労働参加が進んだとしても、約5400万人程度まで減少するというのだ。労働力人口の減少は避けて通れない道であり、企業の労働力不足は今後さらに深刻化すると見られている。
このような時代を迎えた日本において、企業が業績アップを果たすには、従業員一人当たりの生産性を高めるしかない。そこで誰もが注目するのが、ITを利活用した業務効率化である。
だが、ITさえ導入すれば、業務の効率化が実現するわけではない。労働力不足に悩むA社も、そんな課題を抱えていた。人員を補充する代わりにさまざまなITツールを導入したものの、一向に効果が表れないのだ。
特にA社が大きな課題と感じていたのが、意思決定の遅さだった。A社では現場から上がってくるレポートを経営者層やマネジャーが読み解いて、ビジネスの意思決定を行っていたのだ。指標や視点が異なるさまざまなレポートがバラバラで上がってくるのが実態だった。さまざまなフォーマットでデータが統合されていないため、スピーディな分析など程遠い状態だったのである。
新しい分析・可視化ツールが迅速な意思決定を実現
さまざまなITツールを導入しても意思決定の迅速化にもつながらないA社では、営業改革支援で豊富な経験を持つソフトブレーンの長田順三氏にアドバイスを求めることにした。長田氏はA社の現状をヒアリング、すぐさま非効率の原因がITを個別最適化で導入してしまったところにあると指摘した。
実はA社では「営業マンが使い慣れている」という理由から、一般的な表計算ソフトを標準のITツールとして利用してきた。また売り上げ情報などのデータは、基幹システムのデータベースにあり、必要に応じて情報システム部門に依頼してデータを抽出し、加工した後に集約している。こうして出来上がったレポートは「結果の閲覧」しかできず、経営者層やマネジャーが別の角度から分析したり、未知の事実を予見する指標にしたりすることは不可能だった。
「それぞれの業務システムを個別最適化して構築したのでは、情報が分断されてしまいます。データの集計・分析に時間がかかりすぎ、その間に情報の鮮度が落ちて経営判断が難しくなります。また本来は分析に取り込むべき情報を見逃し、情報を活用し切れていない可能性もあります」
このA社に対し、長田氏は新しいIT基盤への移行を推奨するとともに、全社的な視点を取り入れた新たなBIツールの導入を提言した。すると、ウソのように業務効率化が図られ、迅速な経営判断が可能になったという。
A社の営業マネジャーはその効果をこう語る。
「経営陣にレポートを上げるとき、これまでは経験豊富なベテラン営業マンがあちこちのワークシートやシステムからデータを集計し、数日間をかけてまとめていました。ところが長田さんのアドバイス通りに、新しい分析・可視化ツールを導入したところ、入社2年目の若手社員がわかりやすいレポートをほんの数時間で作成できるようになったのです。その手際の良さと見栄えの良さ、さらにさまざまな角度による分析から未知の事実を素早く発見できるという機能性は、迅速な意思決定を求める経営陣からも高く評価されています」
今やA社は労働力不足をものともせず、競合他社と比較して完全な“勝ち組”企業になったという。そんなA社に、長田氏はどんな分析・可視化ツールを提案したのだろうか・・・。