2月相場は日米首脳会談に大きく左右される 日本株は米国に「ガツン」と言えば上がる?

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すでにトランプ大統領は14の大統領令に署名している。主だったところでは、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の離脱、シリア難民の受け入れ120日凍結、メキシコ国境への「壁」建設(建設計画を下院に提出)、カナダとテキサス州を結ぶ石油パイプラインの建設承認などだ。

この中で、市場で材料視されたのは、石油パイプラインの建設承認くらいであり、製造業関係の法規則の簡略化に関しては、さほど話題となっていない。やはり「いいとこ取り」の市場だが、先週末からの相場動向をみると、日米ともに出来高はさほど増えておらず、トランプ新政権の政策を「ハヤす」ようなムードは感じられない。

米VIX指数の低さは先述の通りだが、欧州の同様の指標であるVSTOXX指数も15ポイント台、日本の日経ボラティリティ・インデックスも18ポイント台だった。

30日のVIX指数は上昇を見せたが、先行き不透明感はまだ高まってはおらず、相場はまだ楽観論に支配されているといえよう。これだけトランプ新政権への不透明感が高まっているにもかかわらず、各国市場でのボラティリティがさほどではないことは、市場参加者そのものが減少していることを意味していると考える。

2国間交渉で「日本へ圧力」の懸念残る

では、2月の相場はどうなるだろうか。2月10日の日米首脳会談に向けて、多少はボラティリティが上昇するかもしれないが、投資家の多くがニュートラルのポジションを取っている可能性があることから、相場が明確な方向性を示すのは先となろう。2月から3月に実施される米国の一般教書演説や予算教書演説の内容を確認する必要がありそうだ。

日米首脳会談に関しては、トランプ大統領が提唱する二国間の自由貿易協定(FTA)がメインの議題となるほか、自動車、為替政策に関する突っ込んだ話もでてくるだろう。

トランプ大統領は、大統領選挙期間の2016年1月、「日本は円安に誘導している。私の友人は米キャタピラーの代わりにコマツの建設機械を買った。こうした流れは認めることはできない」と声高に述べた。市場では、「トランプ氏の発想は1980年代の日米貿易摩擦のイメージのままなのだろう」と半ば「笑い話のネタ」となったが、TPP離脱や二国間のFTAを進める姿勢、ツイッターでのトヨタ自動車に対するコメントなどを考慮すると、「笑い話のネタ」ではすまされない。どうやら本気のようだ。

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