オープンな組織が「無能な社員」を駆逐する イノベーションが起きる組織の違いとは?

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その後、法務担当の弁護士と一緒にランチを取ったが、彼も現金を持っておらず、ランチ代を私が払った。しかも車のガソリンがほとんど切れかかっているということで、ガソリン代まで私が払うことになった。これは本当に面接なのか、ある種の詐欺ではないかとすら思った。

振り返ると、彼らは単にオープンなだけだった。普段誰かとコーヒーを飲み、ランチを共にするように接しただけだったのだ。2人とも現金を持っていなかったのは間抜けで苦笑せざるを得ないが、オープンソースの世界がそうであるように、誰かを手厚くもてなすとか、リーダーを特別扱いする、といったことに重きを置いていなかったのだ。

大企業の「イノベーション専門部署」は有効か?

――実際の組織もかなりオープンなものだった。

レッドハットは大企業のように階層構造を持つ会社ではない。一人ひとりがイニシアチブを取って新しいことを試みるため、イノベーションを実行するために、階層のないフラットな形態になった。能力主義で、アイデアが経営陣から出されようが、インターンの学生のものであろうが、最も優れたものが採用される、ということだ。

大企業はイノベーションを担当する専門部署を設置して、人を採用して…ということをよくやる。それ自体は悪いことではないが、専門部署以外が階層のあるモデルのままでは、イノベーションを起こすことは難しい。

――伝統的な会社では、なぜ階層が残ってしまうのか。

ほとんどの経営トップは「階層がある」ことを十分に認識していない。階層があることで批判されたくないし、階層について十分に対話をしたくないと思っている。組織を変えるのは難しいので「変えるのはやめよう」という方向に流されがちだ。

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