早婚したい、草食男子たちのまっとうな本音 若者の間で「求婚男子」が急増中?

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理由の2つ目として「家族仲が良くなったこと」も挙げられるだろう。昨今“ママっ子男子”という言葉に象徴されるように、仲の良い家族、特に母と息子の仲が良いというケースが増えている。仲の良い家庭で育った若者が多いからこそ、「幸せな家庭を築くこと」の重要度、優先度が上がってきているのかもしれない。今は、自分の恋人と親の3人で遊ぶというような母子関係も増えてきている。付き合っている段階から相手の親と気軽に会っていることで家族の賛同も得られやすく、結婚のハードルが下がってきているともいえるかもしれない。

また3つ目としては、「草食男子の増加」が挙げられる。これまで男性が結婚を渋る理由として、「結婚したら遊べなくなる」という理由もよくあったのではないかと思う。しかし、今回ヒアリングした若者男子たちにその点をしつこく聞いたところ、誰もその点については懸念していなかった。つまり、昨今の若者男子は恋愛にガツガツしていないため、「結婚前にもっと遊びたい」または「もっといい人がいるかも」という考えをさほど持っていないのだ。そのため、早くから配偶者を定め、その人と添い遂げようという決断ができるのかもしれない。

原田の総評:希少化した結婚が憧れの対象に

現場研究員のレポートはいかがでしたでしょうか。

実態としてはいまだに晩婚化・未婚化が進む日本ですが、若年男性の結婚に対する意識は徐々に変わってきているようです。

結婚すること自体が簡単ではない世の中になってきているので、逆に結婚に希少価値が生まれ、若年男性の間であこがれの対象になってきている面もあるかもしれません。

いずれにせよ、長引く少子化を少しでも改善するために、日本はこの「早婚願望があるのに、実際には結婚できない若年男性」をサポートしていく必要があるでしょう。また、さまざまな企業にとっても、この若年男性の早婚願望を刺激するさまざまな施策を自社製品やサービスと絡めて行っていくと効果が得られる時代になってきているのかもしれません。

原田 曜平 マーケティングアナリスト

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はらだ ようへい / Yohei Harada

1977年生まれ。慶應義塾大学商学部卒業後、博報堂に入社。ストラテジックプランニング局、博報堂生活総合研究所、研究開発局を経て、博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダー。2018年よりマーケティングアナリストとして活動。2003年、JAAA広告賞・新人部門賞を受賞。著書に『平成トレンド史』『それ、なんで流行ってるの?』『新・オタク経済』『寡欲都市tokyo』などがある。YouTubeはこちら

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