要注意!「起業してはダメな人」3つの共通点 「世間と他人」への冷静な理解が不可欠だ

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事業のステージと経営者の能力は必ずしもリンクしませんし、立ち上げは得意でも、たとえば、上場までもっていく力はない、ということもあります。そういうときは、別の経営者や、周囲の専門家の力を借りて、経営者個人の能力の限界を超えていくことが必要です。

成功する経営者はそのことがよくわかっていて、起業の初期から、周囲のステークホルダーたちといい関係を築くよう意識的に努力しています。

その意識があるかどうかは、その会社の企業概要や、組織体制のつくり方などを見ているとわかります。情報公開をどれくらいきちんとしているか、という面からもわかります。組織体制や情報公開など、事業がある程度大きくなってから考えればいいや、と思っている起業家も多いようですが、そうではありません。

先にも書いたとおり、経営者は独善的になりがちです。それを抑えるために、たとえば起業の初期から取締役を置いて取締役会を適法に運営してきた、というアピールができることは、あなたの強みにつながります。

細部を意識できるかが成否を分ける

また、企業概要を作る際、会社の住所を西新宿とするのと、歌舞伎町とするのでは、同じ新宿でも周囲の受け止め方は大きく異なります。資本金の金額も、今はゼロ円(実務上は1円)で起業できるとはいえ、ゼロ円起業と資本金1000万円で起業するのでは、他人から見た信用力には天と地の差があります。

そういう細部を意識してケアができているかどうかも、成否を分ける基準となります。起業に踏み切るとなると、誰しも不安を感じるものです。しかしその不安は、こうした事前の準備で、かなり解消することができます。

夢や志ももちろん大切ですが、周囲からの信用を得られるようなビジネスの進め方をしているかどうかも、それに劣らず重要な要素であることを、忘れないでください。

菅野 健一 リスクモンスター取締役会長FOUNDER

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すがの けんいち / Kenichi Sugano

一般社団法人与信管理協会 専務理事。1993年日商岩井(現、双日)入社。審査部に配属され、国内与信を担当。1996年より米国日商岩井審査部(ニューヨーク)に異動。その後本社審査部にて、国内・海外案件審査、投融資案件審査、債権回収実務、訴訟実務等に従事。2000年9月に、与信管理クラウドサービスを行うベンチャー企業「リスクモンスター」を上司、同僚と共に創業。2004年6月、代表取締役社長に就任。同社は2005年3月に設立後4年半で大阪証券取引所ヘラクレス市場(当時)に上場を果たし、2016年9月に東京証券取引所市場第2部へ市場変更。総合商社の審査部門での勤務経験と、起業の実践経験により、多くの若手起業家から助言を求められている。経済同友会所属。一般社団法人与信管理協会の専務理事、企業評価・与信管理の専門家である与信管理士として、同志社大学、山形大学、千葉商科大学において講師として与信管理論を担当。就職活動や起業にも役立つ実践的な授業を行っている。
 

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淵邊 善彦 東京大学大学院法学政治学研究科教授・弁護士

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ふちべ よしひこ / Yoshihiko Huchibe

TMI総合法律事務所パートナー弁護士。1987年東京大学法学部卒業。1989年弁護士登録。1995年ロンドン大学ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン卒業(LL.M.)。西村眞田(現、西村あさひ)法律事務所、ノートン・ローズ法律事務所等での勤務を経て、2000年、TMI総合法律事務所にパートナーとして参画。弁護士として約25年間、M&Aやアライアンスをはじめとする多くの国内外の企業法務案件を担当。起業関連での相談も数多く寄せられている。中央大学ビジネススクール客員教授として、社会人学生の指導にもあたる。創通株式会社社外監査役を務める。30代で大手商社からスピンアウトして与信管理クラウドサービスを行う会社を立ち上げ、4年半で上場を果たした創業経営者の菅野氏と、25年の弁護士経験を元に多数の起業家をサポートし、東大教授も務めている。
 

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