ロイター

なぜ「貯蓄から投資へ」が進まないのか

金融機関の営業や企画担当者が、今考えていること

「貯蓄から投資へ」という言葉を聞くようになって久しい。政府も、少額投資非課税制度(NISA)などの制度を導入してこれを後押ししている。だが、家計金融資産は1700兆円に上り、依然として預貯金に偏重している。ロボアドバイザーなどのフィンテック(FinTech)はその転機になるのか。解決すべき課題はどのような点なのだろうか。

投資信託は5年後に「拡大する」と
回答した人は6割

2016年12月、興味深い調査が行われ、その結果が17年1月に公表された。トムソン・ロイターと日経BPコンサルティングが共同で実施した「リテール証券(投資信託)調査」である。

注目すべきは調査対象だ。調査に回答したのは、銀行(都銀、ゆうちょ銀、地銀)や証券会社の営業部門や企画部門に勤務する人300人である。これらの所属部門の内訳は、営業・販売70.7%、その他(企画部門など)29.3%となっている。すなわち、投資信託の企画・開発・販売にかかわる最前線の人たちが調査に答えたわけだ。

マイナス金利の導入により、預貯金だけでは資産を増やすことは難しくなった。一方で、2017年1月からは個人型確定拠出年金の利用対象が拡大、2018年1月からは少額投資非課税制度(NISA)の積み立て版「積立NISA」もスタートするなど、制度面での整備も進んでいる。

投資家へのリスク商品への関心が高まるように思われるが、投資信託の営業や企画の現場では、全員が楽観視しているわけではないようだ。投資信託の純資産総額について、5年後に「拡大する」と考える回答者が6割程度いる一方で、「横ばい」が3割、「縮小」も1割弱いる。

日本における投資信託の普及の
最大の課題は「消費者知識」にあり

マイナス金利が先行している欧州では、預貯金からリスク商品への資金のシフトが見られた。米国はマイナス金利ではないが、確定拠出型年金である401(k)プランなどの普及をきっかけに、投資信託を保有する個人が増えた。日本では2001年に確定拠出年金(DC)制度がスタートしたが動きは鈍い。

日本における投資信託の普及の課題について、投資信託の営業や企画の最前線にいる人たちは、「消費者の投資信託に対する知識が乏しい」(74.3%)と答えている。さらに、「DCやNISA制度等が国民に十分に認知されていない」(58.7%)、「国の政策や年金制度改革が十分でない」(52.3%)などが続いている。

また、これらの外部要因に対して、「営業担当者の提案力が不足」(49.0%)、「消費者にとって魅力的な投資信託の取り扱いが不足している/商品開発ができない」(45.0%)と、金融機関サイドの課題を挙げる人も少なくない(※いずれも複数回答)。

これらの課題の解決のために、投資信託の企画・開発・販売に携わる人たちは何が有効だと考えているのだろうか。「FinTech」はどのような影響があると予測しているのだろうか。以下の特別レポートで、その内容を確認してほしい。