欧州GPSウォッチの雄は日本市場で勝てるか オランダ「トムトム」の創業者が戦略を明かす

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「2017年は日本のスポーツウォッチ市場でしっかりとした地位を得たい」と話すトムトム社の共同創業者コリーン・ビグリュー氏(撮影:風間 仁一郎)
オランダのトムトム(TomTom)社。そう聞いても、日本ではピンと来る人はあまり多くないかもしれない。が、実際には自動車・個人向けナビゲーションシステムと地図情報では、欧州有数の企業である。新規領域のスポーツ向けGPSウォッチ市場には2011年に参入。フランスでのトップシェア獲得など実績を上げたうえで、2016年には満を持して日本市場にGPSウォッチを投入した。
足元では従来の個人向け主力商品である携帯型ナビゲーション装置(PND)がスマホの普及に押されて苦戦。2015年度の売上高は、約10億0700万ユーロ(1222億円)だったが、近く発表される2016年度の業績は、第3四半期(2016年7月~9月)の決算発表前に従来の見通しを下方修正し、売上高9億8000万ユーロ(1190億円)と減収を見込んでいる。
PNDに代わる新たな柱にしようと、GPSウォッチに懸ける期待は大きいはずだが、日本では後発。これから消費者をどうやって取り込むのか。市場調査目的で来日した、共同創業者でコンシューマー部門のマーケティング責任者を務めるコリーン・ビグリュー氏に事業戦略を聞いた。

 「トムトム」は革新的な製品の開発を続けてきた

――2016年6月にGPSウォッチ「トムトム スパーク」を日本市場に投入して約半年が経ちましたが、手応えは?

日本市場ではとても良い反応を得ています。実際に手にしたユーザーからは使い勝手が良いという声を多くもらっています。われわれの商品は、ビックカメラやヨドバシカメラ、あるいはスポーツ量販店で販売されていますが、業者にも良い形で受け入れられました。

2016年は日本市場に参入することができた年。そして2017年は日本でしっかりとした地位を確保する年にするつもりです。2016年6月に日本で発売したGPSウォッチ「トムトム スパーク」はランニング用でしたが、今年、投入する新製品「トムトム アドベンチャー」はハイキングやトレイルランニングなどに使える気圧計やコンパスも搭載しており、より幅広い用途で活躍します。

日本でも1月末に発売されたアウトドア向けの「トムトム アドベンチャー(税抜4万0500円)」(撮影:風間 仁一郎)

昨年、今年と日本にマーケティングに訪れて感じたのは、高齢化が進む中で健康的に年を取りたいというニーズが高まっていること。そして女性の間でも、ランニングをはじめとしてスポーツに取り組む人が増えているようですが、トムトム社のGPSウォッチはデザインの繊細さも特長なので高い評価を得られると考えています。

――日本のスポーツ向けGPSウォッチ市場では米ガーミンやフィンランドのスント、日本のセイコーエプソンが先行しています。トムトムは何をアピールして顧客層を広げていくつもりでしょうか。

ガーミンとスントは、日本にかぎらず世界中の市場でシェアを取り合うライバルです。われわれが競合に対して自信を持っているのは、非常に革新的な商品を開発できるところです。その一例として、トムトムは世界で初めてスポーツウォッチに心拍計を取り入れたメーカーです。そして、一般的なスポーツウォッチに比べて、あまりゴツくならないようにして、繊細でファッションになじむデザインを心がけています。直感的な操作ができて、コストパフォーマンスが良いのも特長です。

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