ダウンタウンはなぜ面白くなくなったのか? グローバルエリートが“笑いのとれる芸人”を分析

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“お笑いの実力”以外の力で生き残っていく“芸人”たち

ビジネスの観点で言えば、テレビに出るお笑い芸人は、笑わせることが本質的な目的ではなく、視聴率を上げることがビジネスモデル上の役割である。したがってたとえ昔いた“はんにゃ”という芸人が私の目には全然面白くなくても、女子高生の間でキャーキャーいわれてアイドル人気が(たとえ短期間とはいえ)ある間は、その女子高生に商品を売り込みたいスポンサー企業にとっては重要なタレントとなる。

このように視聴者が芸人に求める役割は“笑わせてくれる”に限らず、たとえばその昔、プロレスでジャイアント馬場さんに強さを求めないが、とにかくリングに上がってくれるだけでありがたい、というファンがいたように、ただただ志村けんさんにお笑いのステージに居続けてもらいたい、という憧憬の需要も確かに存在するのである。

なお関西では“やしきたかじん”など、到底面白いとは言えず、知性も品性も著しく欠けているように見える人に人気がある。関西にはテレビに出る人に賢さや真実を求めず、“暴力性や下品さ”に親しみを感じる層が一定数以上いるので、そのセグメントに照準を合わせてキャラクターを演じているのなら大したものだ。

ちなみに彼は周囲の取り巻きにはたいへん支持が高いようだが、名前は伏せるが芸能界のご意見番や大御所扱いの全然面白くもないのにテレビのメインを張りつづける皆さんと同じく、周囲に仕事を与え、恩義を感じているヒトで周囲を固めることで、長期間、芸能界に生き残っていく生存モデルなのかもしれない。

このモデルは“笑いのレベルの高い視聴者”には迷惑で、面白くも賢くも、また人格が優れてるわけでもなさそうに見える人が(あくまでテレビを通じた個人的印象であり、実際にそうだと断定しているわけではない)“長らくテレビに映っているから”という認知度の高さと、周囲の人脈という政治力でテレビの限られた枠を独占し続けている。それが、今のようにテレビが全然面白くなく、レベルが低下し続けている一因だろう。

なお私は個人名を上げて批判するのは好きではないが、たかじんさんなどは多くの人々に著しく侮辱的な発言をさんざん繰り返して傷つけてきたので、ご健康を案じつつも率直な感想を書かせていただく。

また、そのご友人の辛坊さんに関しても、あれほど自身の無知を棚に上げてさまざまな人を批判し、イラク人質事件で自己責任論をかざし視聴率を稼いでお金儲けした以上、ほとぼりが無料で冷めるのを待たずして、感謝している自衛隊や国家にかかった1000万円以上を自主返還するのが当然だと思われるが、自主返還しなくて恥ずかしくないのだろうか。コストの1000万円のカバーだけでなく、”感謝”を形にして1億円寄付しても罰はあたらないだろう。

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