中国共産党政権は、2~3年以内に崩壊も 異色のエコノミスト・増田悦佐氏に聞く(下)

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現政権は、今後あっさり内部崩壊する可能性も

人間は経済的に豊かになり、生活水準が上がると、社会的、文化的選択肢の豊かさを求めるようになる。中国の民衆が豊かになり、「政治的な選択肢も増やしてくれ。一党独裁ではいやだ」などと高望みを始めたら、大変なことになる。だからこそ、共産党の指導者たちは、壮大な資源の無駄遣いで国民が生み出した富を浪費し、経済成長率の割には労働者や農民の生活水準が上がらない仕組みを、意図的に維持してきたのだ。

だが、この仕組みは明らかに限界に来ている。これまでは橋などのインフラをつくっては壊し、つくっては壊しでやってきたが、それでも成長率は鈍化し、もはや大量の資源を使い切れなくなりつつある。中国からの輸出についても、香港を経由した大量の水増しがあったが、それがしぼんできている。

――中国の資源浪費バブルが崩壊すれば、日本にどのような影響を与えますか。

非常に大きなプラスと、細々としたマイナスの両面があると見ている。

まず、中国が資源を浪費できなくなれば、これまで高値に維持されてきた商品市況は大きく下がることになる。いままで、中国の浪費のせいで高く買わされてきた天然資源を安く買えるようになるのだから、日本経済にとっては大きなプラスだ。この点からも、アベノミクスで為替を円安に誘導することは、間違っている。円高だからこそ、世界中から天然資源を安く買えるのではないか。

一方、中国に進出し、中国への依存度が高い日本企業にとっては、マイナスの影響が避けられない。だが全体としては、マイナスよりプラスのほうが大きいと見ている。

――中国ではこれから2~3年のうちに、共産党独裁を批判する大衆運動が盛り上がり、現政権はあっさり崩壊するのではないか、とも予想されていますね。

中国が現在はまり込んでしまったドロ沼から脱出するには、共産党独裁体制の崩壊が避けられないだろう。中国の民衆、とくに農村戸籍保有者たちの生活は、あまりにもみじめだ。国民の多数を占める彼らが、経済がどんなに発展してもわずかなおこぼれしかもらえないような状態を、いつまでも続けられるわけがない。

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