トランプ相場の「第3幕」は本当にあるのか いずれ円高が来るなら、投資は少額で良い

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もっとも、今回の新政権の閣僚はビジネス出身者が多いこともあり、こうしたテンポで政権運営を進めるのはお手の物であろう。そのうえで重要なことは「自らの利益になるかどうか」がすべての判断の物差しであるという点である。米国の金融機関の仕事ぶりをご存知の方は理解できるだろうが、とにかく仕事に厳しい。

そのうえ、かなり早いスピードで結果を求められる。また、ビジネスである以上、双方の利益になることが本来の姿だが、まずは自らの利益優先をさせる傾向が強い。一定の妥協はあろうが、基本はこのスタンスである。他国の代表者や企業の経営者などのカウンターパーティーは、相当の覚悟をもって対処しなければならないはずだ。

心配なのは、日本側にそのような認識や経験を持つ閣僚や官僚がどの程度いるのかだろう。もちろん、企業経営者も同様である。今後は、米国の利益になるような提案ができなければ、ビジネスは進められない。

米国の政権は「トランプHD」になった

トランプ大統領に日本的な浪花節や粘り強い交渉が通用するのだろうか。そう簡単ではないことだけは確かである。安倍晋三政権内には「トランプ大統領は理解不足であり、日本側が丁寧に説明すればわかってくれる」との期待もあるようだ。TPPについても、粘り強く説得すれば、いずれ理解してくれるとの期待もあるようだが、トランプ大統領がすでに「永久的に」TPPから離脱するとし、大統領令に署名してしまっている。そうした期待は、それこそ水泡に帰すだろう。

かなりのスピードで選挙戦からの公約を次々に実行に移している姿から見えてくるのは、「トランプ大統領は本気であり、妥協を許さない人物である」ということだ。トランプ大統領のビジネススタイルに一定程度則って行動することが求められそうだ。トランプ大統領が米国内外の主要企業に対して国内に工場を作り、そこで生産することを強く要求している姿などは、さながら「トランプ・ホールディング・カンパニー」の代表取締役であり、最高経営責任者(CEO)を彷彿とさせる。傘下にある子会社が、それぞれの企業体と考えればわかりやすいだろう。

つまり、トランプ大統領は親会社の社長あるいは経営責任者として子会社にトップダウンで業務を指示し、子会社の社長である各企業の代表者が指示に従って行動するわけである。いまのところ、完全なるトップダウンであり、指示に逆らうことは国に逆らうことでもあり、ある意味選択の余地がない。

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