「ホームドア計画がない危険な駅」は、どこか 利用者10万人超の全265駅を独自調査し判明

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利用者10万人以上の駅に、ホームドアの設置が求められている(記者撮影)

悲劇は繰り返される。1月14日、JR京浜東北線・蕨駅のホームから視覚障害のある男性が転落、進入してきた電車にはねられて死亡した。昨年8月には東京メトロ銀座線・青山一丁目で、10月には近鉄大阪線・河内国分駅で同様の事故が起きている。今回の事故がいたたまれないのは、事故は防げる可能性があったということだ。

そもそも青山一丁目の転落事故を契機に、国土交通省は再発防止に向けた検討会を8月26日に開催している。JRや大手私鉄、地下鉄など16事業者、2団体の安全担当者らが出席し、対策会議の立ち上がりとしてはスピーディだった。

国交省は声がけ要請に消極姿勢

ただ、会議では何の対策も出なかった。ホームドア設置前倒しの可能性や、駅員による視覚障害者への声がけなど「心のバリアフリー」の推進について2016年内に取りまとめを行なうという方向性が確認されたのみにとどまった。

ホームドア設置前倒しといっても、2~3年後に予定されている工事を多少前倒ししたところで即効性は乏しい。心のバリアフリーについては2011年に「駅員等に対するバリアフリーに関する教育・研修活動等の人材対応の充実」が定められている。これに基づき、駅員等による声がけの励行を鉄道事業者に要請すればよいのだが、国交省側は「視覚障害者団体にヒアリングをして、本当に声がけしてよいのかどうかをまず確認する必要がある」という消極的なスタンスにとどまった。

その後、2度にわたる検討会で視覚障害者団体からのヒアリングも行なわれたが、結論が得られないまま10月に河内国分駅の事故が起きた。12月に入ってようやく中間取りまとめの方向性が打ち出され、昨年12月22日に行なわれた第6回の検討会で中間取りまとめ案が発表された。

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