日本株が「3月まで横ばい」かもしれない理由 株価を決めるのはドル円相場だけではない

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日本株にとっては不運にも、現在のドル円相場は一時1ドル=112円台に入りました。一目均衡表を利用したチャート分析では、相場の中心といわれる「月の基準線の価格」(=112.44円)まで円高になり、いったん円安方向に戻しましたが、再び基準線の水準まで円高が進みました。

ドル円のレートを考える場合、この基準線の価格よりも円高となることなく、1月19日に付けた円安水準である115.62円を上回ってようやく、円安に向けての「底固め」ができる段階です。先日、米国の12月消費者物価(CPI)が前年比で+2.1%と約2年半ぶりの大幅な伸びとなりました。

イエレンFRB(連邦準備理事会)議長が雇用情勢と物価上昇率の観点から景気が拡大していることを示したことで、米長期債の利回りは急反発し、ドル高円安のきっかけとなりました。

しかしそれはトランプ米大統領の就任演説前の話です。米国では、10-12月期のGDP、12月耐久財受注などの発表が残っていますが、経済指標の好調が確認された程度では、就任演説前のように簡単には米長期金利の上昇→円安の流れになりづらい局面に変わったのではないでしょうか。つまり、為替市場は一つだけでなく好調な経済指標がいくつも確認され、3月開催のFOMC(連邦公開市場委員会)が実際に近づくまで、様子見姿勢を決め込むムードが続くことが予想されます。

2014年以降、日本株は為替と連動が薄れる局面も

しかし、株式市場は別物です。仮に為替市場に不安定さが残っていても、ここから日本株を本気になって売り叩く要因にはならないのではないかと思っています。

というのは、安倍政権が誕生した2012年12月の月末を起点に、日経平均株価とドル円相場をみると、両者の主要な天井や底はおおむね同じような動きをしていますが、2014年と2015年は1月中旬ごろから6月ぐらいにかけて連動性が薄れているのが確認できます。2016年も夏場まで円高が進んだ一方、株価は2月に安値をつけて戻しました。つまり、2017年も今ごろから両者の連動性が薄れる局面に入っていく可能性がある、と考えることができます。

決算発表シーズンに入ったからといって、業績面だけに焦点を当てると、どうしても「円安=株高」の論調になりがちなのですが、それぞれの過去の値動きをみる限りでは、別の角度から相場を観察する必要があります。いうまでもなく、東京証券取引所の売買比率の大半を占めるのは海外投資家です。足元の円高で保有する日本株のドルベースでの評価が上昇している海外投資家の投資マインドが、どこまで改善するのか。あるいは外国人投資家の主戦場である米国株式の動向がポイントです。必ずしも為替市場に左右されるわけではありません。

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