ライフネット生命、「まだ契約23万件」の茨道 お客さんの「常識」を変えるのは簡単ではない

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「保険も比較して選ぶというマインドが広がっている点は、明らかに大きな変化です」(撮影:尾形文繁)

――なるほど、販売チャネルと商品の相性みたいなものがあるのでしょうね。たとえば、アマゾンが強いのは、普及している商品を安く便利に手に入れられるからですよね。

はい。最近、20代の女性が、定期死亡保険の死亡保険金1000万円ぐらいのものを月額800円ほどで加入され、受取人をお子様にされている契約が目立つようになってきました。旦那様とは別に契約されているのか、もしかしたらお子様をおひとりで育てていらっしゃるのかもしれませんが、ある意味、これもインターネットを活用することでコストを抑えて提供しているからこそのイノベーションではないかと思っているのです。

――そうした商品があまり知られてないのは、もったいないですね。

そうなんです。開業から8年も経過してこんなことを言っているのも恥ずかしいのですが、まだまだお客様に上手に伝えられていません。

お客さんの意識はちょっとずつ変わっている

――私は保険関連の仕事に就いて22年目ですが、お客さんの意識があまり変わっていない気がするんです。岩瀬さんから見たお客さんはどうですか。

保険にかける時間、関心とも低いようには思います。ただ、「ずっと変わらないのか、それとも、ちょっとずつ変わるのか」と考えると、ちょっとずつ変わっていると思います。複数の会社の商品を扱う保険ショップというビジネスが成長するなど、変化は起きています。「保険も比較して選ぶ」というマインドが広がっている点は、明らかに大きな変化です。

――「子育て世代を応援する」「生命保険の未来を創る、個人マネーの流れを変える」という創業時の想いに立ち返る、と昨年末のフェイスブックに投稿していました。生命保険の未来をどうイメージしていますか。

消費のトレンドは明らかに変化をしています。今は、モノをたくさん持たずにシェアする、あまりおカネを使わない、スマートフォンを使いこなして便利にサービスを買う、という時代ですよね。そういう流れの1つにライフネット生命を位置づけたい、と思っています。

後田 亨 オフィスバトン「保険相談室」代表

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うしろだ とおる / Tooru Ushiroda

1959年、長崎県出身。長崎大学経済学部卒。1995年、アパレルメーカーから日本生命へ転職。営業職、複数の保険会社の商品を扱う代理店を経て2012年に独立。現在はオフィスバトン「保険相談室」代表として執筆やセミナー講師、個人向け有料相談を手掛ける。『「保険のプロ」が生命保険に入らないもっともな理由』(青春出版社)ほか、著書・メディア掲載多数。

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