「モバイルバッテリー」は、これから不足する 「アンカー」が直面する危機とは?

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「2012年秋にアンカーを見つけた頃、世界中でまだ“モバイルバッテリー”というカテゴリーや言葉は統一されていませんでした。しかしその後1~2年の間に一気に広がり、われわれの生活に欠かせないものになりました。

バッテリーの基礎技術は、小型化と大容量化ですが、同じサイズで密度が高まるのは、せいぜい年間10%程度しか期待できません。そうした中で、モバイルバッテリーからの充電は、スマートフォンからスマートウォッチ、デジタルカメラ、そして最近ではノートパソコンに至るまで、身の回りのあらゆるものがモバイルバッテリーによる充電の対象になりました。

このままでは、大容量で重たいバッテリーを持ち運ぶ未来になってしまいます。たとえば自家発電や、ほかのファクター(要因)がなければ、改善の見込みがないのです。そこに、可能性があります」(井戸氏)

街中で満充電のバッテリーと交換できる仕組み

アンカーで日本代表を務める井戸義経氏

アンカーでは、米国シアトルと中国で、バッテリーのレンタルサービスをテストしている。街中で、手元のカラになりそうなバッテリーと、満充電のバッテリーを交換できる仕組みだ。まだうまく行っているわけではないが、「日本で展開したほうが素早く成長するかも」と期待を寄せる。

モバイルバッテリーとコネクテッドデバイスを手掛けるアンカー。その交点にあるわれわれの未来の生活は、どのようにデザインされていくのだろうか。効率化や最適化、省資源、そして、スマホのバッテリーのことを気遣わないで済む未来に期待したい。

松村 太郎 ジャーナリスト

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まつむら たろう / Taro Matsumura

1980年生まれ。慶應義塾大学政策・メディア研究科卒。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。著書に『LinkedInスタートブック』(日経BP)、『スマートフォン新時代』(NTT出版)、監訳に『「ソーシャルラーニング」入門』(日経BP)など。

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