東京五輪ゴルフ会場、変更案浮上の不可解さ

組織委・森喜朗会長が介入して「蒸し返し」

その会場問題がほぼ変更なし、小池知事がその他で費用を削ったが、総額2兆円になり、今後もっと膨らむ可能性がある。運営費や人件費、資材費などまだかかることは容易に想像がつく。招致時の予算は輸送や警備などソフト面を含んでいなかったので比較はできないが7300億円ほどだった。

「どこがコンパクト?」と思うし、東京が少ない費用で大会を成功させたら、膨らみ続ける五輪開催費用の流れを止めて、資金が少ない都市でも東京をモデルにして開催できるかもしれない。そんな希望も含んだ「開催都市決定」だったと個人的には思うのだが、そんな「五輪を開催したいけどカネがかかってできない」都市の思いも、いまや反故にされた感はぬぐえない。

今回のゴルフ会場に関する森発言があった後、東京都内にある若洲ゴルフリンクス(GL)での開催を主張している日本ゴルフ改革会議が1月11日に東京都庁で会見を開いた。霞ヶ関CCと若洲GLを比較して若洲GLへの変更を求めている。

ゴルフ会場を変更しても、コスト削減は不確実だ

会見資料に「開催経費 霞ヶ関巨額、若洲少額」とあった。質疑応答の中で若洲GLに変更した場合に改造なども含めて「コストはどのぐらいかかるのか」という質問に対して会見の主催者側は「2016年招致(失敗)時に出ているので、それがベースになる」とし、「取材するのは皆さんの仕事」と数字を答えなかったので、コスト面での若洲GLの優位点は見えなかった。巨額、少額ではわからない。

また、暑さについて「スポーツをやめなさいという気温」と指摘し、海に面した若洲GLの方が確かに気温は低いのだが、暑さにあうのはゴルフだけではない。マラソンだって、トライアスロンだって、自転車のロードレースだって、暑さの中で行う。野球も長引けば3時間、4時間になる。五輪はゴルフだけが行われるわけではないので、屋外で行うすべての競技について「不適切」という指摘ならわかる。埼玉の38度はダメで、都内の35度は大丈夫というわけではないだろう。

そもそも、2016年誘致の際は、2009年に投票が行われて東京はリオデジャネイロに敗れた。その時点でゴルフは正式競技に入っていない。五輪ゴルフ復活が決まったのは2012年。なので、2016年招致の時の立候補ファイルに若洲GLでの開催のコスト試算をしているはずがない。改革会議側の言う「ベース」は立候補ファイルという正式な書類では存在していない。

2020年招致(2013年決定)の際には、当初は若洲GLの名前も挙がっていたのでその際にコストを試算している可能性はあるが、正式なものではない。立候補ファイルを作成するにあたって最後に霞ヶ関CCに決まった。その経緯に不透明さがあると指摘されているが、会場をまとめた日本ゴルフ協会(JGA)の山中博史専務理事も情報開示に不備があったことは認めている。ただ、五輪招致については「霞ヶ関CC」しか世界に発信していない。

ゴルフ競技開催会場は若洲GLの方が近いし、景色もいいし、ゴルフファンも含めて日本のゴルフ界の人は「開催可能なら若洲でやった方がいい」と思っていた。ただ、国際オリンピック委員会の求める付帯設備などを含め、国際ゴルフ連盟(IGF)との判断で、立候補ファイルには霞ヶ関CCとなったと聞いている。

改革会議側は、コストの1つとしてコース改造中の休業補償を例として挙げ「霞ヶ関は15億円、若洲はゼロ」と話したが、五輪を開催するにあたって「若洲の改造は必要」と答えている。その時に休業補償が発生する可能性がある。若洲GLに変更になればなったで、霞ヶ関CC同様に周辺整備や輸送、警備などコストが発生するのは間違いない。コース改造費は霞ヶ関CCの場合は自己負担して現在仮オープンしているが、若洲GLは不透明だ。10億円ならよくて、100億円はダメとはいえない。どっちも巨額だし、税金だ。

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