アベノミクスに騙されるな,デフレが日本救う 異色のエコノミスト・増田悦佐氏に聞く(上)

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これに対して、国内の個人投資家は賢い。主体別売買動向を見ると、個人投資家は2012年夏頃から売り越しとなっている。過去を長いスパンで見ても、国内の個人投資家は株価の動きを読みながら、絶妙な投資行動をとってきた。たとえば06年には買い越しだったが、株価が調整する直前の07年にはすでに売り越しに転じていた。

最近の各種アンケートによれば、日本人のおよそ8割は、「アベノミクスでインフレになる」と予想している。ところが、その8割、つまり全体の6割強は「インフレになると困る」と回答している。つまり、日本人の多くはリフレ政策を支持していないのだ。アベノミクスに期待して、そしてだまされているのは大企業や知識人だけであり、庶民は決してだまされていないわけだ。与党は参議院議員選挙(7月21日)に勝利するだろうが、その後はアベノミクスも、本当に日本にとって有益なのか、政策の本質が試されるだろう。

(下に続く。下では、増田氏の中国に対する厳しい見方を中心にお届けします。7月16日以降掲載予定)

柿沼 茂喜 東洋経済 記者

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かきぬま しげき / Shigeki Kakinuma

入社以来、一貫して記者として食品・外食、金融・証券、電力・ガス・石油、流通、精密機器、総合電機、造船・重機などの業界を担当。この間、『週刊東洋経済』『会社四季報』『金融ビジネス』の各副編集長、『株式ウイークリー』編集長、編集局次長などを経て現職。

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