トランプ大統領誕生後の米国はバブルになる 第一生命経済研究所の嶌峰・西濵氏が予測

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――先ほどOPECの合意が2016年の予想外との話でしたが、2017年には中東の産油国はどのように動くでしょうか?

西濱:OPECは「減産するよ」と口では言いますが、おそらく量は変わらないでしょうね。減産に同調する、と言っていたロシアも生産量は毎月毎月、変化ありません。そうなると、失望感も出てきますし、シェールオイルの話もありますから、上値は抑えられるでしょう。原油価格は1ドル=55~60ドルで推移する、とみています。

かつては産油国がプレゼンスを持って金融市場で暴れまくる、もしくは中東の覇権を争う、といった動きがありましたが、今後はそんなことはなくなってくると思いますね。

――日本経済にはプラスでしょうか??

西濱:オイルマネーがマーケットに来なくなる、という面があります。でも、ここ数年、もともとあまりオイルマネーは日本では暴れていないので、大きな影響もないでしょう。日本にとってはオイルマネーが市場でどう動くかよりも、オイル価格が低いということのほうがインパクトは大きい。日本経済にとっては原油安が続くほうがいいわけです。

嶌峰:私はトランプ氏の中東政策は、アメリカの原理的な考え方である「イスラエルを守る」ことに戻る可能性もあるのではないかとも考えているんです。もしそうなったら、人道的とかバランスとかそういうことはもうやめて、イスラエルに火の粉がかかりそうなときだけアメリカが出ていく、という形もあると。そうなると、もうアメリカは何も手を出さなくなる、とそういう考えもあるのではないでしょうか。

西濱:絶対にないとは断言できませんね。ただ、万一そんなことになると、サウジアラビアは火だるまで倒れますよね。中東は群雄割拠になってしまう。

嶌峰:アメリカは原油を自国生産できるようになっちゃったので、わざわざそこまでリスクを冒して手を出す必要はないと言い出さないとは絶対に言えない。

中国の習近平政権は意外に盤石?

――景気減速が毎年叫ばれている中国はどうでしょう?

西濱:中国は全人代で成長力目標の数字を出したら、それに向かって一直線に行く、それだけです。なので、大失速はないでしょう。おそらく経済成長目標は6.5%あたりになるはずです。ただ2017年の前半はドンと減速します。公共投資が動かないからです。3月にようやく全人代で予算が決まるので、4月から動き始めて全体でこの数値にまとめてくる、という2016年と同じ動きになる可能性が高いでしょうね。中国の予測は意外と楽かもしれません(笑)。

ただ、やっかいなのは不動産バブル。これを抑制しているのが現状です。その効果がはっきり表れるのは2018年初頭とみています。2017年後半あたりから、不動産価格がようやく落ち着き始めるかもしれません。このあたりでコントロールが利かなくなるような状況を、中国政府はなんとしても避けたいでしょう。秋には共産党大会もありますので。

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