トランプ大統領誕生後の米国はバブルになる 第一生命経済研究所の嶌峰・西濵氏が予測

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――政治家ではないトランプ氏だからこそ、その方程式が解けるという人もいます。

嶌峰:この複雑な「軍事的政治的な方程式」が、ビジネスマインドで解けるのか、って感じですよね。

西濱:ビジネスマインドだから解けるの「かも」ともいわれていますし、政治家でなければ難しい問題「かも」ともいわれます。すべてが「かも」。仮定の話しかないわけです。ということは、結局は解けないまま行くのではないか、というのが現状の解答ではないでしょうか。

2017年のアメリカはバブルになる

――さて、いよいよトランプ大統領が誕生しますが、アメリカは今年何回利上げするでしょうか。2016年の利上げは1回でした。

嶌峰:たった1回かしなかったから、難しくなりました。現在は日米とも景気拡大の局面ですからね。ほぼ完全雇用の段階から始まって、トランプ新大統領は公共投資も減税もすると発言している。景気を吹き上がらせるわけです。

すでに金利は適正水準と2%の乖離があるので、1回0.25%とすると、8回の利上げで、今の理論値にようやく追いつくわけですね。でも、これから1年後、と考えたらさらに乖離が広がっています。0.25%ずつでは無理ですね。去年よりも利上げをしなければいけない、という環境になっていると思うので、2017年は4回の利上げでシナリオを考えています。

それでも金利差は全然埋まらないので、予想ではアメリカはバブルになります。講演会などでは、アメリカの株価予測を「2万ドル台」と言っています。さすがに3万ドルはないだろうけど、という意味です。バブルだから、急にハネることもありですね。直近でバブルが起こったところは起こりにくいといわれているので、バブルがあるとしたら、株と商業不動産、とみています。

一方、日本国内ですが、アメリカがバブルになったとしても、日本がバブルになる要素はほぼないので、現状維持から拡大ですね。為替は2017年アメリカの利上げが4回とすると、1ドル=125円までの円安が進むと考えています。そうすると、日経平均株価の上値はだいたい2万1000~2万2000円ですね。高値は10月か11月とみています。アメリカは利上げを4回したあと、それでは足りないでしょうから、年末に向けてじれてくると思うのですよ。もっと利上げが必要というトーンが出てくる。すると2017年末は、利上げの様子見という感じになってくるのではないでしょうか。

――アメリカ以外での注目は?

嶌峰:2017年はやはり欧州でしょうね。巷間いわれているような極右勢力が政権を取るということはないと思いますが、フランスやドイツの選挙の最中に、英国がEUと交渉する、というタイミングです。英国がEUから飛び出ることは、厳しい状況になるということを、フランスもドイツもほかのEU諸国に見せないといけないので、厳しい交渉になるはずですね。

「英国が厳しい立場にある」というニュースが流れれば、同国の株価が暴落する可能性もあります。イタリアも、現状では困難であるということになって解散総選挙に追い込まれれば、また不安定になる。欧州はつねに不安定要因があるということです。

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