「ゲス極」失った事務所が放つ新バンドの正体 すでにホンダ「ヴェゼル」のCMで人気化

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今後、ゲス極の契約終了によって考えられる影響だが、スペースシャワー全体の売上高の3割強(詳細な内訳は非公開)を占める音楽事業において、原盤の印税や放送二次使用料などの著作隣接権収入、マネジメント収入(フェスの出演料やライブ収入、グッズ収入)などでマイナス影響が出てくる見込みだ。

ただし、デジタル配信収入(他社からの委託も含めて約250万曲を管理)については、AWA(サイバーエージェントとエイベックスグループが運営)やLINEミュージックなどの国内勢に加え、スウェーデンのスポティファイなど定額配信サービスが増えていることから、近年は順調に実績を伸ばしている。

また、サチモスが予想以上の勢いでファンを獲得しているため、CDなどのパッケージ販売やライブ収入の増加などで、どれだけゲス極の影響を抑えられるか注目される。

多角化も進展、収益強化はこれからが本番

さらに、スペースシャワーは昨年、秋葉原のメイドカフェ「@ほぉ~むカフェ」の運営会社であるインフィニアを買収。アーティストのファンクラブ運営事業を展開するコネクトプラスも傘下に加えている。

これまでも原宿でさまざまなアーティストなどと協力する「コラボカフェ」を展開しており、さらにサブカルチャーやアーティストとファンを結ぶ事業を強化する方針。こうした新事業の動向も業績に影響しそうだ。

つまり、当面の戦略は、さらなるタイアップ獲得などでサチモスを人気アーティストに押し上げること、そして、新事業における収益性をさらに高めていくことになるだろう。

ゲス極という「金看板」を失ったスペースシャワーだが、すでに次に向けた手を繰り出している。「災い転じて福と為す」とできるか。2017年はその収益力が問われる年になりそうだ。

田邉 佳介 東洋経済 記者

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たなべ けいすけ / Keisuke Tanabe

2007年入社。流通業界や株式投資雑誌の編集部、モバイル、ネット、メディア、観光・ホテル、食品担当を経て、現在は物流や音楽業界を取材。

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