全国津々浦々に開花する「地方イタリアン」て何だ!?

全国津々浦々に開花する「地方イタリアン」て何だ!?

かつて、日本の有名イタリア料理店といえば、東京都内、それもトレンド最先端スポットである六本木や西麻布、というのが通り相場だった。しかし近年、地場の特色ある食材を活用し、しかも洗練された料理を出すレストランの話題が、地方から続々届いている。これが「地方イタリアン」だ。

その代表格といえるのが、山形県鶴岡市の「アル・ケッチャーノ」。地方の中都市の、そのまた郊外という立地なのだが、2000年のオープン以来、庄内の豊かな食材を生かした料理が評判を集め、今や超人気店となっている。この店での食事をメインとした旅行ツアーもあるほど、全国から連日客が押し寄せる。

全国各地に、さまざまなこだわりを持つイタリア料理店の百花繚乱。『料理通信』の君島佐和子編集長は、その背景についてこう語る。

「歴史的にイタリアは地方分権の国。料理に関しても地方色が強い。『おいしいものは地方にある』『地元の食材で作るのがいちばん』という風土で修業し、帰国した料理人たちが、いざ店を持とうというとき、今さら西麻布じゃないよね、と。自分や家族の出身地などに戻って、地場の食材を生かした料理を出したいと考えるシェフが増えてきた結果」

 そんな店の一つを訪れた。長野県諏訪市、上諏訪駅近くにイタリア料理店「DANLO」はあった。

シェフの松本武氏は、西麻布や広尾、恵比寿、表参道の有名レストランで修業を積んだ後、05年にこの地に店を構えた。諏訪を選んだのは、「妻の出身地ということもあって何度か訪ねているうちに、ここの自然とそこから生まれる食材にほれ込んだからです。とにかく食材の味が力強い」(松本氏)。

素材の力強さにほれる 害獣駆除の肉はジビエに

長野は寒暖の差が激しく、その厳しい環境で育つ野菜や果物は糖度が高く、味が濃いという。よい肉や乳製品も豊富。仕入れ先はほとんどが近隣で、野菜は隣接する茅野市郊外の野菜直売市場などから地場のものを調達する。県境を挟んで、やはり近場の山梨県北杜市の無農薬農場で作られたものの活用も試みている。

この店の看板料理である豚肉は、諏訪湖から流れ出る天竜川沿いの飯田市名産「幻豚」という品種が中心だ。イタリア料理に欠かせないチーズは松本市奈川の清水牧場のチーズ工房から、こちらは牛からチーズ生産まで一貫して行う生産者として知られる。米も地元産だ。

それに地元の山で採れた天然の山菜やキノコも使う。また害獣駆除の副産物として市場に回るイノシシ、鹿なども、ジビエ(狩猟肉)として積極的に料理したいという。

「海の魚は、瀬戸内の魚を入れていますが、季節によっては地元のワカサギをメニューに取り入れることも。地の蕎麦粉もパスタに使ったりしています。こちらに住むと、自然環境の変化に敏感になる。環境のためにも、地元で取れたものを地元で使うという『地産地消』にはこだわりたいですね」(松本氏)という。

DANLOの料理の味は、とにかく野菜も肉も素材の味が濃い。それが、過不足のないさっぱりした味わいのドレッシングやソースできれいにまとめられている。環境にやさしく、おいしい地方イタリアン・ブームも、納得のいくところだ。

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