中国軍艦が日本近海を堂々と航行できる根因 日本列島の海峡には「大きな穴」があいている

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宗谷海峡(左上)、津軽海峡(右上)、対馬海峡東水道および対馬海峡西水道(左下)、大隅海峡(右下)、(出所:海上保安庁ホームページより)

「特定海峡」とは国際航行に使用されている宗谷海峡、津軽海峡、対馬海峡東水道、対馬海峡西水道および大隅海峡の5つを指す。宗谷海峡はロシア、対馬海峡西水道は韓国と向かい合うが、それ以外の3海峡は日本の領土に囲まれている。いわば日本にとって「内側」の存在といえる。

しかし、これらの海幅は通常なら12カイリのところを3カイリに狭めているため、「公海」となる海域は外国艦船が自由に通行できる。

ではなぜ、領海法によってこれら5つの海峡は「特定海峡」に指定されたのか。

なぜ特定海峡に指定したのか?

そもそも1977年に領海法を制定したのは、それまで3カイリとされた領海の幅を12カイリとする主張が国際的に優勢になったため。ところが国連海洋法条約を批准するにあたり、国際海峡における通過通航制度の内容がはっきり定まっていなかったため、日本政府は当時から、「特定海峡」での領海を3カイリにすることで通航の自由を保障すべきという説明を繰り返し主張していた。

そのスタンスは今も変わらない。緒方氏が2015年2月13日に出した質問主意書に対して、政府は「海洋国家および先進工業国として、国際交通の要衝たる海峡における商船、大型タンカー等の自由な航行を保障することが総合的国益の観点から不可欠であることを踏まえたもの」と説明している。

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