新生銀行の八方ふさがり−斬新で高い収益性を目指したが…リテールでもついに赤字

新生銀行の八方ふさがり−斬新で高い収益性を目指したが…リテールでもついに赤字

金融危機から10年。再生したはずの新生銀行が再び厳しい状況に陥っている。2期続けて収益は低迷、2006年前半に800円台だった株価は400円前後に下落。第2位の大株主(持ち株比率23・9%)の政府は、1株745円以上でないと国民負担が追加的に発生するため売るに売れず、塩漬け状態を余儀なくされている。

新生は、公的資金注入時の政府に対する約束である「経営健全化計画」の利益を確保するために、年度末ギリギリの3月、本店の土地建物を売却。660億円(計上は617億円)を捻出し、赤字が2期連続となる事態を免れた。

本店売却でしのぐが粗利伸びずコスト倒れ

本店売却については、ティエリー・ポルテ社長が自らの地位を守ろうと、2期続けての金融庁からの業務改善命令(当期利益で計画の3割以上を確保しなければ発動される)を回避した行為だ、と非難された。

 古巣のモルガン・スタンレーから「高い価格での売却提案があったため」(ポルテ社長)との説明は苦しい。これがなければ、Tier�(中核的自己資本)比率も6%台になっていた。地銀なら問題はないが、リスクを取る投資銀行業務を行うには、余裕のない数字になる。5月にはITオペレーションセンターのある目黒も売却され、今期利益は50億円底上げされる。

もう売れる土地建物はない。今09年3月期は連結当期利益620億円、単体で同600億円の計画をクリアしなくてはならない。昨年、見直したばかりの健全化計画では、単体当期利益で今期700億円、来期750億円を掲げている。

新生はリテールバンキング(以下、リテール部門)、法人相手のインスティテューショナルバンキング(以下、法人部門)に加え、04年以降、資本余力を駆って、信販のアプラス、中堅リース会社の昭和リース、中堅消費者金融のシンキと、相次いでノンバンク買収にカネを突っ込み、コンシューマーアンドコマーシャルファイナンス(以下、CCF)を3本目の柱にしていた(下表)。

ところが、いわゆるグレーゾーン金利の最高裁判決を機に、過払い金返還訴訟が多発。そのうえ貸金業法と割賦販売法の改正で規制強化が決まり、ビジネス環境が一変。07年3月期の赤字転落は主に、アプラスののれん代・無形資産の償却、利息返還損失引当金、リストラ費用で計1113億円、シンキの利息返還損失引当金で146億円などの損失が出たことによる。

08年3月期は法人部門の米住宅ローン市場関連で134億円の貸倒引当金が発生した。しかし、より根本的な問題は、07年3月期からリテール部門が本業の利益を示す実質業務純益で赤字に転落していることである。トップラインである業務粗利益が伸びず、コスト倒れになっているのだ(下グラフ)。

「今期からは、昭和リースを法人部門へ統合し、信販のアプラス、消費者金融のシンキはリテール部門に統合して、2部門体制でシナジー効果を狙う」(ポルテ社長)という。本業の立て直しは、はたして可能なのだろうか。



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